第11話 米粉って勿論だけど米から出来てるんだよね?
「心臓を潰すのよ」
心臓を潰す…… 言葉通りに受け取れば、アリーお姉様の質問に嘘で答えると死ぬって事なんだろうけれど……
私がアッシュを見ると何事もなかったように澄ましている。
嘘を吐いていない──
アリーお姉様の話しが本当ならアッシュは私を守つもりがあるし裏切らないって事になる。
本当かなぁ…… なんか直ぐに裏切りそうな雰囲気あるけれど。
それこそ、なんたら禁書を手放したら直ぐにでも。
もしくはその設定に飽きた場合とか……
てゆうかアリーお姉様の能力がそもそも厨二っぽい。
アリーお姉様がうふふと笑うとアッシュがニヤリと笑みを浮かべる……
ま、まさか…… 厨二病同士で通じ合っている!?
あんな糸なんかで嘘が判るはずなさそうだしなぁ……
「うふふ。 フリル、アナタが何を考えているか分かるわ。 勝手にお気に入りの従者君にイタズラしたのを怒っているんでしょう? ごめんなさいね。 でもね、お姉ちゃんどうしてもフリルの事が心配なのよ。 でもこれで安心ね、アッシュちゃんはフリルの事を裏切らないわ。 普通の人間なら心臓を潰されて生きている訳ないものね」
わたしが、ムムムッと考えているとアリーお姉様が何か勘違いしたようだ。
全く怒っていないし、アッシュの事は別にお気に入りな訳ではないんだけどなぁ。
それにしても……
「嘘吐いているかいないかは、死んだかどうかで判断しているのです?」
「あら? そうよ私は嘘を吐いたかどうかは判らないわ。 正直何に対して嘘を吐いたかどうかとか興味無いし。 私に対して誠実であればそれで良いのよ。 嘘を吐いたら死ぬし、吐かなければ死なない。 それだけよ」
にっこり、うふふって笑いながらスッゴイ怖い事言ってません? 我が姉ながらちょっと怖いんですけど……
1番上のお姉ちゃん── エレオノールお姉様はもっと真っ当に怖いけれど、アリーお姉様は怖くないようで実は怖いタイプだ……
「でも安心して、フリル。 アナタにこの能力を使った事なんて1度もないわ! そしてこれからも無いわ。 お姉ちゃんはフリルの事信じているからね!」
は、ははは…… 怖い…… 怖いしか出てこないんですけどその満面の笑み…… 一切安心できないわ……
絶対にアリーお姉様に嘘は吐かないようにしよう……
「それはそうと、フリルもお茶を飲んだら? 最近私が良く飲んでいるアッカムにミルクを入れたものよ。 ケーキ類もあるのだけれど、フリルには新しいクッキーの感想が欲しいわ」
そう言ってアリーお姉様が合図をするとお姉様専属のメイドがケーキやらクッキーやら、色々なスイーツを目の前に並べてくれる。
私的にはクッキーよりもケーキが食べたいのだけれど、アリーお姉様がクッキーの感想を欲しいなんて言うからクッキーを食べなくては。
見ると特に変わった所の無いクッキーに見えるが…… 強いて言うならちょっと白っぽいクッキーかしら。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
「……正直申し上げますと、あまり美味しいクッキーじゃないですわ」
ちょっと硬めなクッキーは味も平凡でパサパサしている。 なんか前世でもこんなクッキー食べた記憶あるな……
「そう。 やっぱりフリルもそう思うかしら。 そのクッキーはね身体に良いと言われる米粉から作ったクッキーなのよ。 米粉って言うのは主に東方の国で栽培されている穀物らしいわ」
「米粉……」
米粉かぁ! やっぱり食べた事あったわ。 たしかグルテンフリーとかなんとかで身体に良いとかアレルゲンがどうたらとか聞いた気がする。 私はアレルギーも一切無かったし、グルテンも気にしてなかったから普通のクッキーの方が好みだったけれど……
ただ、米粉があるって事はやっぱりお米があるって事だよね! こっちに転生してからというものお米が一切出てこなかったからこの世界には無いのかと諦めていたんだけれど……
まさかこんな所で手掛かりが! 後でココに調べさせよう。
「それでフリル。 どうすればこのクッキーをもっと美味しく出来ると思うかしら?」
こちとら何の知識チートも無い怠惰な転生者ですけど、そんな事聞いちゃいます?
「んー…… バター多め? あと砂糖も増やして…… とか?」
「そうよね。 エリサも色々試してはくれているのだけれど。 美味しくない訳では無いのだからこれはこれで良しとするべきかしら」
むー、私は食べ専だからねぇ料理の事は何とも……
「そういえば、アレックス兄様とレオン兄様も明日にでも城に帰ってくるそうよ。 2人共フランの事が大好きだからきっとまたお土産のお菓子が山程届くわね」
「ふわぁーお菓子ー!! いやいやお兄様達帰ってくるんだー! ってどっか行ってたの?」
「うふふ、アレックス兄様はフラングルの第2王子の結婚式に参列してたのよ。 レオン兄様は知っての通りハインデル内の魔獣討伐なんかをして回っているんだけれど、ひと段落したそうよ」
「へぇ〜」
そういえば私、他の兄姉が何してるのかよく知らないわね。 アリーお姉様も普段何してるのかしら?
まぁ、それよりもアレックスお兄様がフラングルから持って帰ってくるお菓子の方が興味深々だけれど。
☆★☆★☆★☆★☆★
アリーお姉様とのお茶会が終わり自室へと帰ってくると先程食べた米粉のクッキーを思い出す。
たしか東方の国って言ってたわね。 やっぱり日本的な文化は何故か東方なのね。 そういえば、この世界の地図を見た事ないからイマイチわからないわね。
今度セドリックに教えて貰おう。
あ、バイケンてなんか東方っぽいわね。 刀みたいな武器使ってたし。 聞いてみようかしら。 お米が手に入ったら食べたい物がいっぱいあるわね! えっとぉ、まずはぁカレーライス、お寿司、天丼、カツ丼、TKG、親子丼…… むふふふふ……
「お嬢様」
私がまだ見ぬお米に想いを馳せていると、アッシュから声がかかる
そういえばコイツに主従関係を教え込むんだったわ。
「何よ」
「お嬢様…… あの姉はなんなんですか…… 」
人の姉をなんなんですかとはなんなんですか?
「俺が悪魔じゃ無かったら死んでましたよ。 あの能力…… 対象が心臓ではなく悪魔のコアだったなら、悪魔も殺せる能力ですよ。 全く、姉妹揃って化け物ですか……」
神妙な顔して何を言うかと思ったら、まさかの痛い設定語りを聞かされただけだったわ。
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