第15話 聖女とローエンベルク王国①

「な!な!なにこれーーーーー!!!!!」


私の悲鳴が部屋中に響き渡る。


「姿見!アルマ!姿見をこちらに!」


「はい、お嬢様こちらに」


アルマが用意していた姿見を私の近くに寄せてくる。


「みさと、魔力には色がついていてね、聖女の魔力は唯一白い魔力なの。

その人が持っている魔力の種類に応じて色は複雑な色になるんだけれども、聖女の魔力は白くて他の色にはならない。

みさとの白い魔力は紛れもない聖女の証よ。それとこれも」


そうして姿見へ促される。


姿見に映った私の姿は......




だいぶファンキーになっていた。




髪は白く染まり、瞳も白く輝いていた。


元の黒髪に黒い瞳とはかけ離れた姿に純日本人(多分)の私は何度も目を凝らして姿見を見る。

髪を染めるどころか、マニキュアすら小言を言われるせいで塗ったことがなかった私は、予想外の自分の変化に完全に動揺してしまった。


「どど、ど、どうしよう!エレオノーラ!エレオノーラ!」


「大丈夫、綺麗よ」


「違う違う!そういう事じゃない!どうしよう!なにこれ!」


「魔力の影響を受けやすい部分が魔力に反応して一時的に変化することがあるんです、聖女様。一時的な変化なので魔術の行使を止めればそのうち落ち着きます。

フィリップ、本来は君の役目だろう。見とれてないで説明してくれ」


殿下がいつまでも黙っているフィリップさんにツッコむ。

なんだか仲のいい友人同士のような雰囲気に従者と主だと言うのを一瞬忘れそうになる。


「失礼しました。忘れてください。

聖女様、先ほどのエレオノーラ嬢の変化も今起きている聖女様の変化と同様のものです。心配ございません。

魔力を保有している量や出力の高い人はこのように身体の一部が一時的に変化することがあるのです。

先ほどのエレオノーラ嬢も瞳が黄金に変化していたのもそのためです。

現在ここローエンベルク王国にてこの”変化”が確認されているのは一部の王族と魔術師だけになります」


「も、戻るんですよね?」


「綺麗だからわたくしはそのままでも良いと思うわ。とても神秘的な雰囲気でみさとにあっているし」


「エレオノーラ、今は冗談を言って欲しい時じゃないのよ?」


「大丈夫です、聖女様。すでに毛先から元の髪色に戻りつつあるのでご安心ください」


フィリップさんに指摘されて姿見をもう一度確認する。

確かに毛先から徐々に黒く染まっていく。


「ほぉ~...。すごい、CGみたい...」


「しぃーじー...?んんっ!普通はいきなり髪の色や瞳が変わるくらい魔力を出力できないし、魔術を行使できないわ。なのにみさとは何も言ってないのにわたくしを癒してしまうのだもの!びっくりしたわ!流石わたくしの師匠!」


ん?さっきも気になる単語を挟んでいた気がする...”師匠”ってなに?

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