第14話 これってもしかしなくても聖女の力ですか?②

徐々に”熱”とジンジンとした感覚と言うか、疼き?のようなものは収まっていき、私は言われたとおりに両目の奥から胸の中心へ、そして掌へ〝なにか〟を流していく。


するとすぐに腕から手先にかけて淡い白い光が漏れ出して、掌からは白い光の塊が現れた。

白い光の塊は眩しいくらいに今いる部屋の室内を照らして輝いている。


「流石に〝変わる〟だけあるわね...。とっても安定しているし出力も申し分ないわ...」


「っ...」


「はは、フィリップがここまで驚いた顔は初めてかもしれない。これは確定だね」


「...」


私は反射的にエレオノーラの手を今度はこちらから包み込みエレオノーラを見つめる。


「み、みさと?ワンステップもツーステップも超えてしまっているわ。大丈夫?」


「...」


分からない。

分からないけれど”どうすればいいか”は分かる。


エレオノーラに先ほどまで掌に集まっていたものを丁寧に、少しずつ均等に、芯に流しながら包み込むように巡らせていく。


徐々に白い光をまとわせていくエレオノーラ。

既に先ほどまでまとっていた黄金は無くなっている。


「もう十分よみさと。初めてなのにこれ以上流してしまうと後で疲れてご飯を食べれなくなってしまうわ」


「えっと...」


「流れを少しずつ少なくしていって、最後に閉じる感じよ」


さっきまであれだけジンジンとして熱くうずいていた感覚は無くなって、第二の血液が流れ始めたような感覚がする。

流れている〝第2の血液〟は体の中を巡ってはいるものの、血液と違って流れる速さや量を調節できる様だった。


言われたとおりに少しずつ流す量を絞って、最後に封をしていく。

胸の中心と両目の奥を起点として自由自在に〝第2の血液〟を流して、身体に負担が掛からない量まで制限する。

するとエレオノーラと私の手を覆っていた白い光は消えていき、そしていつも通りの私の手に戻っていった。


「ふふ。すごいわ!みさと!今日は聖女かどうか確かめるだけだったのに、もう使いこなしてしまうなんて!流石は私の師匠だわ!」


「聖女としての力は申し分無いくらいあるね。フィリップ、これはこちら側である程度環境に慣れるまで情報を統制しておく必要があるね。フィリップ?」


「フィリップさん?」


なんだかこちらを驚愕した顔でジッと見つめてくるフィリップさんに私は首を傾げる。

そんなフィリップさんを見てエレオノーラは呆れた顔を、カスパール殿下はニコニコしている。


「はぁ~...ダメよ。あなたの口煩さで直ぐに嫌われておしまいよ。諦めなさい」


「いや~僕は応援するよ。これは...あはは!思いがけないイベントだ」


「皆様、紅茶のおかわりを用意させていただきました。聖女様、こちらのクッションをお使いください。初めての魔法の執行に少しお疲れのご様子ですので」


そういってイルマが紅茶を、イルマがクッションを勧めてくるのを知っていたのかアルマがクッションを持ってくる。


「え?あ、ありがとうございます。あまり疲れた感じはしないのですけど、フィリップさんはどうされたのでしょうか?」


「わ、わたしは...」


「あはは!まあまあ、フィリップまずは説明だ。いつもの君の冷静で分かりやすい説明も必要になってくるだろう。こちらへ戻ってきてくれ」


「はぁ~...。よりにもよって第一号がフィリップか...。アルマ、姿見持ってきてちょうだい。イルマ、お菓子の類も並べてくれるかしら」


「「承知しました。お嬢様」」


「みさと、喉が渇いたでしょう。ローズティーを淹れなおしたからまずは飲んでフィリップを無視しなさい」


「???うん?うん。薔薇の香りが凄くするね。すごくいい香りだから飲むのがもったい...な...あ。え?あれ...?」


おかしい。紅茶の水面に浮かぶ私の顔に強烈な違和感を感じる。


何だろう...なんだ...?ん?......あ!!!


「な!な!なにこれーーーーー!!!!!」


エレオノーラはけらけら笑って淑女を完全にどっかに置いてきてるし、カスパール殿下は相変わらずニコニコしてるし、フィリップさんは固まって動かない...。


私だけが取り乱して絶叫し、部屋中に私の悲鳴が響き渡る。





-------------------------------------------あとがき-------------------------------------------


さあ、みさとさんは聖女としての力を扱えるようになったらしいですが、フィリップはどうしたんでしょう。


マジでそろそろパパっと説明して話を進めたいですね。


書いてみると意外にお話が進みません。


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