第13話 これってもしかしなくても聖女の力ですか?①
「そうなったら、今度ご飯奢ってね。きっと起きたらお腹ぺこぺこだよ」
「じゃあ、うまくいったら一緒にご飯食べてくれる?」
かわいいかよ。なにもなくても食べるよエレオノーラ。
けれどよく考えたら公爵令嬢のエレオノーラと食事をするという事は、それなりに食事の作法とか必要なのだろうか。
「いいよ。けど作法とか...」
「肩ひじ張った食事はお茶会や、公の場だけで十分よ。食事の作法は必要だけどそれは追々ね。一緒に覚えようね、みさと。
それじゃあそろそろ始めるわね」
そう言って私の手を自身の手で包み込むエレオノーラ。
黄金に輝く瞳は依然私をジッと見つめる。
エレオノーラが手に軽く力を入れると逸れは始まった。
包み込まれた両手からジンジンと何かが入り込んで来るような感覚を感じる。
ジンジンと手から腕へ、腕から胴へ伝ってくる。
「っ...」
「...」
体の芯から”熱く”なってくる。何かをほじくり返されているような感覚。
”熱く”ジンジンとした感覚は全身を駆け巡っていく。
「熱い...熱いよエレオノーラ...」
「もう少し、もう少しだから頑張ってみさと」
ソファーがきしむ音がする。カスパール殿下もフィリップさんも前のめりになって様子を見ている。
全身を巡っていた感覚はやがて胸の中心と両目の奥に集約していく。
ほじくり返した所を熱く、熱く、焼いて、焼いて、変えていく。
「っ!...」
エレオノーラの黄金に輝く瞳が大きく見開いていく。
エレオノーラは包み込んでいた手を解いて、私の掌を上に向ける。
両目の奥から何かが溢れて目を、頭を包み込むような奇妙な感覚を感じる。
エレオノーラに包まれていた掌から胸の中心にかけて感じていた熱のジンジンとした感覚は、中心に収束して今度は胸から全身に筋を通すように巡っていく。
「これは...。フィリップ」
「...」
「フィリップ?」
「みさと、やっぱり思った通り。すごい...なんて美しいの...。みさと、掌に集中して今身体に流れている物を集めてみて。みさとが教えてくれたことよ」
徐々に”熱”とジンジンとした感覚と言うか、疼き?のようなものは収まっていき、私は言われたとおりに両目の奥から胸の中心へ、そして掌へ〝なにか〟を流していく。
するとすぐに腕から手先にかけて淡い白い光が漏れ出して、掌からは白い光の塊が現れた。
白い光の塊は眩しいくらいに今いる部屋の室内を照らして輝いている。
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