第9話 アルマとカモミールティーと寝落ち①
雲でも抱きしめているような感覚に違和感を覚えて意識が覚醒していく。
「あがっ!...ん?...んん?!」
飛び起きた。いつも寝ている煎餅のような布団ではなくふかふかのベッドで目を覚ました。
枕なんて特大サイズでベッドの横幅はどんなに寝がえりをうっても落ちなさそうな程広い。
無駄に大きすぎて床に降りるのも四つん這いで這っていかなくては行けなさそうだ。
「あ~...そういえば。お風呂に入れてもらってから記憶がない...。」
どうやら侍女のアルマさんにお風呂に連れられてマッサージを受けたところまでは覚えているのだが、そこから記憶が無いという事はいわゆる寝落ちしてしまったのでは...?
コンッコンッ
「ハイ!すいませんすいません!起きてます!開けます開けます!あっ!!イタ!!!」
扉をノックする音に驚いて急いで扉に駆け寄る...いや、駆け寄ろうとしてこけた。
もふもふな掛け布団に足を取られて顔からいってしまった。
「聖女様、開けてもよろしいでしょうか?お食事のご用意と、喉が乾いていると思いカモミールティーの用意がございます」
「あい...。起きてます...。開けて大丈夫ですぅ」
音もなく扉を開けてワゴンを入れた後、「失礼します」と断ってから優しく抱き起してくれる。
アルマさんは褐色の肌に黒くて艶のある長髪で背がとても高い。女性にしては身長が高めの170cmの私と比べても10cm近く高く見える。
付き合いはまだ数時間にも満たないがあまり表情が変わらないイメージが既に付きつつある。いや、完全にこれは偏見なのだが...。
クールな雰囲気と鋭い目元が整った顔に出来るOL感を付与している。
「ありがとうございます。アルマさん。ちょっとドジってしまって...恥ずかしい所を...すいません。」
「聖女様、昨日も申し上げましたがわたしは侍女にございます。どうぞ、アルマと呼び捨てで敬語も抜いていただければと思います。聖女様は王太子殿下とエレオノーラ様の大切なお方ですので」
そう言ってニコッとしたアルマさんの笑顔は誰かに似ていて滅茶苦茶ギャップを感じた。
「えっと、そうですよね。その二人とも偉い人で立場もありますからね...頑張ります」
「はい、よろしくお願いいたします。お食事の前にカモミールティーはいかがですか?リラックス効果がありますのでまずはリラックスして、体から力を抜いていただければと思います」
あの金髪のイケメンはやはりエレオノーラの婚約者で、恋愛相談されたとき私が無い頭を絞って何とかアドバイスしたエレオノーラの相手なのだろう。
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