第8話 で、プロローグに繋がるってわけ②

それから私が居たドーム状の天井一面にステンドグラスが貼られた大きな部屋から出て、出口に立っていたシルバー髪のイケメンに先導されながら馬車まで歩いた。

エレオノーラが「化粧が...」と呟きながら私の肩に顔を半分隠しながら抱き着いて歩きにくい。

金髪イケメンは終始ニコニコしながら横を歩き、馬車の中でも「詳しいことは明日説明いたします聖女様」と繰り返す。


色々起こりすぎてパニックになっていたと思うが、「説明してくれると言うし、まあ、いいか」と未だ引っ付いて離れないエレオノーラの手を平を握りながら、この子が私に危害を加えるとは思えないと結論付けると不思議と落ち着いてきた。


エレオノーラの機嫌が私と初めて顔を合わせた為か最底辺から最高潮に近いくらいまで上がっているのも理由の一つだ。


正直あの綺麗な顔で感情を表に出さず、静かに憤怒の炎を滾らせて冷たい目で見られたら怖気づいてしまう自信がある。


え、この子涎拭いてる?いや、気のせいだよね...。




体感で二十分程で見上げるのもバカバカしい程大きいお城に到着して客間の前まで案内される。

入口から遠い、遠すぎるよ。


「では、聖女様。何かご入用でしたら遠慮なくこちらの侍女までお申しつけください。本日はこれにて失礼します。

エレオノーラ、聖女様はお疲れのご様子です。それに陛下も王妃も説明を求めている。流石に明日には出来ないから行こう。」


手を引かれて去っていくエレオノーラは捨てられた子犬のような表情で何度もこちらを振り向いてくる。

あの子、王妃教育は順調で「淑女はマスターしたわ!」って言ってたような。


「泣きはらした顔を他に見せない様に人払いするのも一苦労です」


そう呆れた口調でこぼした言葉が隣から聞こえて視線をやると、あのシルバー髪イケメンがジッと二人を見ながら隣に立っていた。


「やっぱりまずいのですか?」


「醜聞になりますね。ひいては殿下の弱みになりかねませんのでわたしとしても無視できない事案です」


そう言うとこちらに顔を向けて金髪イケメンと同じく胸に手を当てて軽く頭を下げるシルバー髪イケメン。


「お初にお目にお目にかかります。フィリップ・ド・ランギエールと申します。本日は聖女様が部屋に入るまで見届けろとのことですのでどうぞお入りください。

アルマ、後は任せました。」


そう言われた侍女さんはスッと綺麗な姿勢で頭を下げると、そのまま下がりドアを開けて入室を促してくれる。


「じゃ、じゃあおつかれさまです?」


「はい、お休みなさいませ。明日、お迎えに参ります」


部屋に入り扉が閉まる前、顔を上げたフィリップはそのクールな顔に似合わない優しい顔をしていたのがとても印象的だった。





-------------------------------------------あとがき-------------------------------------------


とりあえず、エレオノーラも王子も側近も登場して序章終了と言ったところでしょうか。


次のお話では異世界に関しても触れていけたらと思っております。


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