第7話 で、プロローグに繋がるってわけ①

目を瞑っている為、音がピタッと鳴りやみ終わっても周囲がどうなってるか分からない。


カツカツ。


大理石の様な硬い足場をヒールが歩くような音が鳴る。

未だに体が強張って動かない。


目の前でヒールの音が止まり、ギュッと何かに抱きしめられる。

ビックリして目を開けてそっと下を見る。

モゾモゾ動いて...顔をグリグリされる。

されてるわグリグリ顔。え、今セクハラされてる?

深呼吸されると息が温かい。こいつまじでこの状況で人の胸を堪能してる。


そして冒頭に戻り、私は...


「はぇ?」


誰か説明できる人を呼んで...。




「うひゃ~生みのり、良い匂いする」


「エレオノーラ、聖女様が凄い目で君を見ているよ。淑女の皮が剥げかけているから少し落ち着こうか」


そう苦笑気味な声色で話しかけて来た男性が近づいてくる。

こちらも綺麗な金髪に優し気な表情のイケメンが近づいてきて、「失礼しました聖女様」と微笑んだかと思ったら抱き着いているセクハラ金髪美女の肩に手を置く。


「い、いえ...。え?エレオノーラ?」


すっと私の体を離したセクハラ金髪美女はこちらを少し探るような目でこちらを見てくる。


「エレオノーラ?え、えれおのーら?」


また泣いてしまいそう。

悲しいからか、嬉しいからか、驚いたからか分からないけど私は彼女の顔に手を伸ばす。

手が震えて指先が彼女の頬に触れたり離れたりするが、彼女の表情は変わらない。


「こんな顔してたのね...。よく...よくこんな綺麗な顔で...私に...恋愛相談なんてしたわね。相談相手をまちが...間違えたかも...しれないね、エレオノーラ...」


うまく言葉が紡げないが、そっと彼女の顔を両手で包み込んでぎゅっとしたり頬を親指でなぞる。彼女の薄い化粧が崩れてしまうが指が止まらない。


「モチモチね...。綺麗な瞳...本当に、本当にアメジストみたい...。」


エレオノーラの顔が徐々に崩れて泣きそうな顔になる。

いや、泣いちゃった。

淑女は人前では感情を出してはいけないと聞いたことがある。

ダメじゃない、エレオノーラ。


「詳しいことは明日説明いたします聖女様。今は少し混乱しているご様子、私の方で王城に客間を用意しておりますので今夜はそちらでお休みになられてはいかがでしょう?」


恭しく胸に手を当て軽く頭を下げる金髪イケメンの提案に乗りたいのは山々だが、私の手を軽くどかしてガチ泣きしながら再度私の胸に飛び込んだエレオノーラを剥がすのを手伝ってほしい。

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