第4話 お前、さては脳筋だな
全員自己紹介を終えると、次に嘉穂先生は連絡事項について話し始めた。
「んじゃあだな。明日のことについて話すから、お前らよぉく聞けよ。明日学校に登校したら生徒会がこの教室に来る。」
先生のこの言葉に、
「えっ玲様もくるかな?」
「生徒会の先輩達ってかっこいいよね!!!」
などと言うような浮ついた声が女子達から上がった。
私は姉を生徒会。いや生徒会長にもっておきながら、生徒会のメンバーなどについては全く分からない。
なので、このレイ様。も私は面識がなかった。
「お前ら静かにしろぉ。続き話すぞ。生徒会が来たら、あとは生徒会の奴らが学校生活についてとか、式神とか、まぁそこらへんに関して説明してくれるはずだ。」
他人任せかよっっっっ
どこまでも適当な教師に対する呆れが早くもでて来ていたが、しっかりと耳を傾け続ける。
「よし、明日の説明はこれで終わりだ。あとは特に連絡も無い。お前らからなんか質問あったら答えるが、完璧な答えは期待するなー」
うん。耳を傾けて損した。
あっさりとしすぎている説明にもはやため息が出た。
こんな説明だったら、質問する人もいないんじゃぁ・・・
「おっそこの女子生徒。なにが聞きたいんだぁ?」
嘉穂先生の目線をたどりその女子生徒をみると、ピンと手を伸ばし堂々と挙手をしていた。
その生徒はつり上がり気味の目に、前髪も含めて高い位置でポニーテールにしているためか、少し我の強そうな雰囲気を纏っていた。
「明日のことに関してではないですが質問です。解呪の方法は人それぞれ違うと聞きます。それに霊力も人によってバラバラです。解呪者という命がけで戦う職業であるからには、『なんとなく』という理由でこの学校に入学した人はいますぐやめるべきだと私は考えています。それについて先生はどうお考えですか?」」
その質問にいきなり教室の温度が下がる。それに、心なしか「霊力もバラバラ」という所で私の方をチラリと見てきたような気がした。
まぁ、考えすぎかな。それより先生はなんて答えるんだ・・・・
ドギマギしながら全員が先生の方へと注目する。
「ううん。そうだな。難しい事は分からんが本人がそうしたいなら俺は良いと思うぞ。俺も霊力はあんまし無いしな。」
えっという声が、その女子生徒も含め全員の声から出た気がした。
この学校は一応「解呪学校」のなかでも名門である。その学校の教師というからには、かなりの実績を持っているはずだ。
しかし、目の前の教師は事もなげに「霊力がない」と発言をしたのだ。
「じゃぁ、先生はどうやって戦ってんの!?」
一番前の席に座っていた男子生徒が、挙手もせずにいきなり尋ねた。
「俺はとにかく拳で戦っている。俺は霊力は無いが触れることが出来るからな。物理が効くならこっちのもんだろ!!はっはっはっはっは。力こそ正義だぁぁぁ!」
いきなり笑い出し、盛り上がった上腕二頭筋を誇示するかのようなポージングをした先生に、ほとんどの生徒は苦笑いするしかなかった。
『ふむ。触可能力か。あのゴリラなかなかやるのう』
じじい、もう一度言おう。人間だ。
唐突に真面目な声を上げ、かつ全くもって先生を違うものとして認識しているじじいに心の中で突っ込みを入れ、少し考える。
「触可能力」・・・ってなんだ。
私の考えを読んだのか、じじいは「後で習うじゃろうから今は知らんでええ。」と一言いうと、録画したという昼ドラを見るために先に家に帰っていった。
なぜ怪異が昼ドラを見るのかいまいち理解出来ないが、とりあえず今は私も帰る準備を進める。
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