第2話 うるさい悪霊は帰れ
『なあ、冬子よ。おぬし何故『解呪者』の学校に入ったのじゃ?お主なら歴史に名を残す『呪術者』になれるというんに。それにお主解呪なんて苦手じゃろ。そうだ、今からでも遅くはない。入学を辞退してしまわぬか?』
私の側でひたすら騒がしいこのじじいは、何百年も前に死んだ「最強の呪術者」である。勿論自称だが。
では何故、解呪者学校に入学しようとしている私にこのじじいが付きまとっているのかというと。
これは私の幼少期にまで遡る。当時5歳の私は家の縁側に座ってボーーーーーーっとしていた。そこにこのじじいがふらっと通り、分別のつかなかった私はこのじじいの体をとっさに掴んでしまった。そんなこんなで、じじいの事が視える私をじじいは大層気に入ったらしい。だとしてもだ。つきまといが長すぎるし、私の家系は結構有名な「解呪者」の集まりだ。祓われる側がそんな家の敷地をふらっと感覚で通るな。
昔そのことを指摘したことがあったが『わしはそりゃあ、ものすごく強い怪異じゃからな。お主の家族には視えるものだっていないじゃろう。』と、そりゃあもうどや顔で言われて腹が立った。とにかく、こんな感じで私とじじいはその日以来ほとんど毎日一緒にいる。
『冬子ちゃぁん。ねぇねぇ聞いてるのぉ?わし、さみちい』
出会いの回想から戻ってくると、一発目からじじいの必殺甘える攻撃である。これは、私がものすごく嫌がると知っていながらやってくる。
頼む消えてくれ。
猫なで声のじじいに鳥肌が立ったので、とにかく無視を決め込む。
てか冷静に考えると、ここも「解呪専門学校」だよ。何してんだよ。
横でとてつもない妨害を受けながらも耐えていると、式は早めに終わった。
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