別に強くなくてもかまいません。

片栗粉

第1話 入学式

この世には「呪い」が存在する。呪いは生者、死者など関係なしに生まれる怪異であり、それに触れた者は魂がだんだんと穢れていく。

それと同時に、この世には呪いを祓い清める能力を持った「解呪者」も存在する。これは、その「解呪者」の記録である。


4月。桜が咲き乱れ、周りには少し大きな制服を身に纏って歩く学生がちらほら見える。

きっとこの学生達は私と同じ一年生に違いない。誰も彼もがその顔に緊張、期待、不安など様々な感情を宿し、学校を目指している。

ちなみに私の心は全力で学校とは正反対の方向に進んでいるのだが、まぁどうしようもないことなので作業感覚で足を進める。

 坂を上っていると、(普段は閉められているのだろう)開け放たれた巨大な鉄製の門が私達を出迎えている。

 どちらかというと、その威圧感から帰れと言われているように感じてしまうが・・・

門の前で立ち止まっている私の横を、他の生徒達が追い越していく。

今日から私もこの学校の一員なのだという憂鬱感が広がっていくが、それをなんとか受け入れ、校内に足を踏み入れた。


入学式の会場である体育館に入ると、中にはすでに多くの生徒達が整列している。私も受付でもらった紙に書いてある番号を頼りに、自分の席を探して歩く。

やっとのことで席を見つけ座ると、数分して学園長らしき人物が壇上に上がり、開会宣言をした。

そこから入学式は順調にされど退屈に進んでいき、最後の生徒会長挨拶になると周りの生徒がソワソワしだした。

司会を務めている教師が笑顔で生徒の名前を呼び、長身で麗しい容姿の美女が壇上に登っていく。

その場にいる全員がそんな彼女をうっとりとした表情で眺め、壇上に立った彼女が柔らかく微笑むと、小さく歓声が上がった。


「春風が優しく吹き、陽光が温かく降り注ぐようになりました。新入生の皆様、このたびはご入学おめでとうございます・・・・」

生徒会長が挨拶をしている間私はというと、他のことに意識を持っていかれていた。

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