終夜

 夜もすがら、物思いに耽る。

 今日のこと、明日のこと、1週間後のテストのこと、4ヶ月後の入試のこと、5年も前の過ちのこと。

 物思いに耽って、耽って、耽って。

 沈んで、沈んで、沈んで。


 ある日は空が明るくなるのを感じた。今、ちらっと目を開けてみても、空はまだ真っ暗だった。しんとした夜の空気を、布団にくるまりながら感じる。時計はまだ4時を示していた。

 うーん、と唸る。眠気すら無くて、どうしようかと考えているのだ。枕から顔を上げて、なんとなく身体を起こした。

 視線の先には夜景が良く見えた。誘われるままにベランダへ出る。


 しんとした空気を通して、遠くから虫の声が聞こえる。どこにいるのかは分からないけれど、確かに居て、それは私の住む7階に届く程の声で鳴いている。


 じっと下見下ろすと、走っている人が1人と車が数台、道をゆく。別にこの世界に1人じゃないんだ、と思ったら、どこかでほっとした私が居た。


 ぐっと視線をあげると、星が目に飛び込む。漆黒とまでは行かない暗い紺色の空が、星を引き立てていた。

 よく見える星空は、オリオン座が近くて大きくて、木星が一際明るかった。一昨日十五夜お月様だった月は、やっぱり少し欠けていた。


 ついこの間、夜の12時頃に空を見上げて、あまり星が見えないことが残念だった。


 こんなに綺麗に星が見えるのか、深夜4時。


 思わぬ収穫に、顔がほころんだ。

 それと同時に眠気が襲ってくる。自分の単純さにちょっと呆れながら、いい夢が見られそうだと再び床についた。


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風が吹く すがら @hoshi__yomi

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