第20話 異世界転生

「異世界転生ものってあるじゃん?」

「急だね」


「その中でも、やってたゲームとか読んでた小説に入り込むやつ」

「うん」


「あれが実際に起きたらどうする?」

「え、どうしようか?」


「ていうか数ある小説とかゲームの中で、大体みんなハマってるゲームとかに転生するよな」

「まぁそりゃあ…でないと話が面白く展開しないだろうしね?」


「にしても、もっと条件がないとと面白くないと思うんだよ」

「条件?」


「例えばそうだなぁ…好き嫌いに関わらず、最後に読んだ小説に転生しちゃうとか」

「読み始めたばっかの本なら最悪じゃん」


「ちなみに藤本、お前最後に読んだ小説ってどんなの?」

「…デスゲーム系」


「うわ、かわいそう」

「何だ!かわいそうって」


「だってそんな…最後に読んだ小説に転生するってなるとお前…」

「まずその条件は山田が勝手に決めただけなんだけどね?」


「で、その小説に転生したら藤本はどうやって生き残るつもりなんだ?」

「当たり前に転生させるなよ」


「藤本はデスゲームとかで真っ先に死にそうだけど…大丈夫か?」

「えっ!?そんな私、デスゲームで真っ先に死ぬ系かませ野郎に見える!?」


「いやそこまでは言ってないけど」

「大丈夫だって。デスゲームでの最初の死はデスゲームに納得いかずに騒ぎ立てて主催者の機嫌を損ねる奴って決まってるから」


「何だそのアホみたいな奴」

「だから、どっちかって言うと先に死ぬのは山田だね」


「おい!何でだよ!」

「ここはどこだ!?ここから出せ!って騒いですぐ殺されそう」


「ぐ…確かに俺なら騒ぎそう…」

「まぁ、私ならそうだなぁ」


「ふん。藤本の生き残り方法を聞こうじゃねぇか」

「最後まで読んだし誰が黒幕かも知ってるから、黒幕に取り入って仲間にしてもらうかな」


「え〜…何かズルくね?」

「いや、異世界転生者は総じてズルいだろ」


「でも黒幕って大体最後は死ぬだろ?黒幕についた所で最後死ぬだけなんじゃ…」

「ふふん。わかってないなぁ山田は!」


「え、な、なにが?」

「私が読んだ本はなんと!…全員死んで黒幕がその場を去って終わるという、まさかのバッドエンドなのさ!」


「何だよそれ…」

「絶望しかないよね…」


「それ読んでた時の気持ち考えるとマジでドンマイとしか言えない」

「そうなんだよ。主人公とか周りの奴ら皆、キャラも立ってて良い奴でさ…それが全員死ぬんだわ。何だよこの話、って思っちゃったよ…」


「…で、面白かったのか?」

「途中まではね。黒幕がもっとキャラ立ってたらあの展開も許せたかもだけど…別に好きなキャラでもなかったし、尚更最後ですごいダメージ食らったよ」


「なら、あれだな」

「何さ?」


「その世界に転生したら、展開を知ってる藤本が皆を救って黒幕を捕まえる…ハッピーエンドにするしかないな?」

「あっはっは!絶対に嫌だね!」


「何でだよ!?そういうストーリーだと大体ハッピーエンド目指すだろ!」

「私は自分が生き残る事だけを考える!絶対にだ!」


「なんか知らんが強い意思を感じるわ」

「で、聞いてなかったけど。山田は最後に読んだ小説か最後にやってたゲームは何なの?」


「簡単に言うと…戦争のゲームだ。戦うやつ」

「そっちも最悪じゃねえか」

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