山田と藤本の会話劇

第10話 新垣と帰れ

「オッス、藤本」

「おお、オッス山田。どした？」

「いやな…ちょっと言いにくいんだけどよ」

「？何？」

「今日カッキーに一緒に帰るの誘われちゃってさ」

「うん？そうなんだ？」

「だから、放課後…」

「放課後？…ああ！もしかして気にしてくれてるのか」

「いや、まぁな」

「バカだなー山田は。別に放課後集まるのは約束してるわけじゃないんだから、気にせず新垣と帰れよ」

「冷たっ！もっと寂しいとかそんなん無いの！？」

「え…うーーーーーん」

「そんなに考えんでも」

「考えた事なかったけど、確かに寂しいかもな」

「えっ」

「まぁ毎日私に付き合ってくれるのなんて、山田ぐらいだし」

「ま、まぁそれは」

「でも本当に寂しいと感じるかどうかは今日を過ごしてみないと分からんな」

「あ、はい」

「ていうかさ」

「おう？」

「そんなに気にするなら、新垣も誘って放課後喋れば良いじゃん」

「えっ…」

「だって新垣って高校からこっちでしょ？しかも地元って沖縄じゃん」

「そうだな」

「まだ居心地悪いと思うし、山田と帰るのだってもっと仲良くなりたいんでしょ？」

「そ、そうかな」

「いや照れんなよキモイな」

「キモイって」

「だから、新垣も連れてきたら良いじゃん」

「あー…」

「あ、何。もしかして私の事嫌いかな？」

「いやいやいや！カッキーはそんな奴じゃない！…多分藤本とも仲良くしたいんじゃないかな」

「そっか、安心」

「うん」

「なのに何だか煮え切らない態度だね？」

「いや、まぁ…」

「何か訳アリってことか」

「まぁ、そんな所」

「じゃあそこの判断は山田に任せるよ。何があるのかは知らんけど、私はいつでも連れてきて良いと思うし」

「おう。今度カッキーにも聞いてみる」

「うん。良いと思うよ」

「んーでもさぁぁ？」

「え。何急に。わざとらしい」

「いやぁ、でもぉ。今まで2人でずっと喋ってきたわけじゃーん？」

「そ、そうですね…？」

「そこに急にカッキーも入ったら、ちょっとだけ変な感じって言うか～」

「さっきからギャルみたいな喋り方だな」

「なんとなく…寂しい？みたいな？感じって感じしない？」

「感じって感じ…」

「そこは拾うなよ！喋り方むずいんだぞ！」

「知らねぇよ。勝手にやっといて何だよ」

「で…どうなの？」

「え、どうって？」

「だから…藤本ちゃんは、俺と二人きりじゃなくなると相談したい事もできなくなったり寂しいと感じたりするのかなぁって～」

「言うほど私、山田に相談してないと思う」

「ぐっ…俺は300のダメージを受けた」

「よわ」

「まぁ冗談はこれぐらいにして、そろそろ行くわ」

「おー。じゃあまた明日ね」

「おう！明日な！」

「新垣にもよろしく～」

「…」

「…」

「…」

「楽しそうに行っちゃって」

「…」

「考えた事なかったけど、放課後2人じゃなくなるのは…」

「…」

「うーん。少しだけ寂しい、かも…？」