第7話 俺が考えている事を当てるゲーム

「良い事をすると気持ちが良いよなと俺は思うんだよ」

「?そうだね?」


「だからな、藤本…」

「な、何?」


「俺が考えている事を当てるゲェェーム!」

「わーい!」


「回答者は今日も今日とてメガネの藤本さんです!」

「どうも、メガネの藤本です!おバカの山田さん!」


「ではね、早速…やっていきましょうか!」

「何を?」


「急にノリ悪くなるのやめろよ。怖いから」

「いや山田が楽しそうだったからつい乗ったけど、何してるのか分からなすぎる」


「え、知らないの?俺が考えている事を当てるゲームを!?知らないの!?」

「知らないけど…流行ってるの?」


「っかー!知らないのか!知らないのか、藤本よ!」

「ぐ…友達が少ないもんで、悪かったね」


「元気出せって。俺も昨日ネットで見て楽しそうだからやってみたいって思っただけだし」

「あれ?友達が少ないって再認識してダメージくらっただけじゃね?」


「ルールは簡単です」

「始めちゃうのね」


「藤本は俺に『はい』か『いいえ』で答えられる質問をします」

「ふむふむ」


「それで、俺が考えている事を当てましょう」

「説明雑すぎんか?」


「これ以上の説明は難しいので俺が無理です」

「馬鹿すぎる…まぁでも似たようなのやった事あるし大体理解した」


「まじかよお前天才だな」

「ふふん」


「じゃ、早速お願いします」

「考えている事って、大まかなジャンルは決めないの?」


「はい」

「いや、まだ始めてないから」


「決めた方がいい?」

「さすがにね。果てしなさすぎるから何についてかだけは教えてよ」


「わかった。今日俺が見てテンションあがったもの」

「質問!エッチなやつですか?」


「…いいえ。お前、初っ端からそれかよ。しかも食い気味で聞いてんじゃねぇよ」

「見てテンション上がるって大体それっしょ、普通」


「否定できない自分が憎い!でも今回は違いまーす」

「ん~。質問、それは学校で見た?」


「いいえ」

「じゃあどこで見た?」


「『はい』か『いいえ』で答えられる質問にしてくださーい」

「チッ。騙されなかったか」


「いや騙そうとしないで!?」

「自分の家で見た?」


「いいえ」

「外で見た?」


「はい」

「ヤバい。全然絞れる気がしない」


「ヒント言おうか?」

「いやまだ!ダメ!」


「お、おう…」

「ん~…朝見ましたか?」


「お!はい!」

「分かった!朝日でしょ!」


「ぶっぶぅー!違いまーす!」

「ぐぐぐ…んじゃあ質問続ける。通学途中に見た?」


「はい」

「空を見上げたら見えた?」


「いいえ。…朝日じゃないってば」

「山田アホだから本当は朝日なのに忘れてるんじゃないかと思って」


「おいコラ」

「はいじゃあ次の質問。誰か人物を見た?」


「…!はい!」

「その人物だけを見てテンションが上がった?」


「…いいえ?」

「いや、何で疑問形だよ」


「うーん何て言うか…まぁ、いいえだな」

「その人物が何かしていた?」


「そう!はい!」

「…その人物がしている事を見てテンションが上がった?」


「はい!」

「……その人物がしていた事は、世間一般的に良い事?」


「そうだな、はい!」

「はぁ。分かったぞー答え」


「さ、答えをどうぞ!」

「私が転んで泣いてた小学生に絆創膏をあげたこと」


「ピンポォォォン!正確に言えば、小学生の擦りむいた膝に絆創膏を貼ってあげてた、ね!」

「細かいなぁ」


「良い事をすると気持ちが良いよなって最初に言ったじゃん?」

「まさか山田が伏線を…!?」


「いや~朝からいいもん見れたよなぁって」

「…私も朝いいもん見たんだよねぇ」


「ほう?なんだよ?」

「私がその場を去った後、その小学生に飴玉あげてたんだよねぇ。誰かさんが」


「へ、へぇ」

「良い事をすると気持ちが良いもんね」


「…なんだ、その」

「うん?」


「そんなつもりじゃなかったのに見られてたのって凄い恥ずかしいんだな」

「そうだね、今その気持ち一番に分かってあげられる自信あるわ」


「…茶化してごめん」

「うむ。許す」

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