第3話 彼女の作り方

「俺は常に不思議だと思っている事がある」

「……」


「聞いてる?」

「…一応聞いてるけど」


「でさ、不思議だなと思う事なんだけど」

「…うん」


「何で俺に彼女が出来ないんだろう、って事なんだよな」

「山田…それマジで言ってる?」


「大マジですけど?」

「心底驚いてるわ!!」


「なんでだよ!意味わかんねぇよ!」

「いや、そもそも作る気が無いんだと思ってたからさ」


「ええっ!?何で!?」

「……」


「急に無視すんな」

「うるさい。黙れ」


「何でそんな急に冷たいの!?」

「はぁ…分かったから、もっと小声で話そう。声がでかい」


「む。そう?ごめんごめん」

「で、なんだっけ?彼女?」


「そうそう。藤本はどう思うよ?俺って魅力的じゃん?何で彼女出来ないの?」

「うーん…適当にアドバイスするのと、真面目にアドバイスするのどっちがいい?」


「いやどう考えても真面目なアドバイスだろ」

「んじゃ真面目にアドバイスする」


「おう、どんとこい」

「山田は好きな子がいるわけじゃ…ないんだよね?」


「ちょ、藤本急に何言い出すんだよ~!照れるじゃん~!」

「真面目に」


「はい。いないっすね」

「なら誰かに好かれたいって事だと思うんだけど」


「おう。そうだな」

「人から好かれるのに重要な事って何か分かる?」


「俺みたいなカッコよさか?」

「そうだね」


「冗談だって。ごめんて」

「はぁ…まぁ、これは自論だけどね。ある程度の清潔感とか社交性とか色々とあるんだけど、まず大前提として『フリーかどうか』これだと思うんだよ」


「俺に彼女がいるかどうか?」

「そう、それ。まぁたまに関係なく恋してしまう人もいるから絶対とは言い切れないけど」


「でも俺は彼女いないけど?」

「それを皆にわざわざ言わないだろ?『俺は彼女いませんよー!』なんてさ」


「まぁ、そりゃそうだ…で、何が言いたいんだよ?」

「じゃあその時に周りはどう判断するか」


「話が難しくなってきた気がする」

「つまり『山田くんっていつもあの子と一緒にいるなぁ…付き合ってるんだろうなぁ』と思わせた時点で、恋の可能性が無くなるって事」


「なるほどな!じゃあ俺は分け隔てなく色んな子と話せば良いって事か?」

「うん。ソウダネ」


「なんだよ、その反応」

「本当に分かんない?」


「え?なにが?」

「はぁ…あのさぁ。これでも私、女子なのよ」


「…?何当たり前の事言ってんだよ」

「だからさ、山田頻繁に私の所来るじゃん?それ結構周りからは付き合ってるとか思われてたりするから、彼女欲しいならやめた方がいいかもって話」


「ええっ!?そうだったのか!?」

「馬鹿!声でかい!」


「え…あ。あはは」

「山田…完全に授業中だって事忘れてたよね」


「す、すみませんでしたぁぁ!」

「私ほぼ被害者なのに…。先生、すみませんでした」


「…ふう。あっさり授業に戻ってくれたぜ」

「もう怒られないように気を付けようね、山田くん」


「あ、そういやさ」

「いや今先生に怒られたばっかりだろ。メンタル鋼かよ」


「適当なアドバイスを選んでたら何て言うつもりだったんだ?」

「サボテンを玄関に飾れ」


「え、何だそれ風水?」

「知らん。今適当に思いついた」


「いや適当すぎだろ」

「だから言ったでしょ。適当なアドバイスって」

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