第4話 体育の人数
「そんでまた放課後がやってきましたな」
「どうした急に」
「いや、何となく」
「そう…あのさ。毎日のように放課後待ってくれてるけど、別に先に帰って良いんだよ?」
「え、何。俺が待つの嫌なの…?」
「いやそうじゃないけど。そんなに悲しい顔しないでくれ頼むから」
「まぁお互い部活もしてないし暇だし。良いじゃん、放課後喋るぐらい」
「山田が良いなら良いけど」
「んじゃ今日の議題なんだけどさ」
「いや今まで議題とか決めた事ないだろ」
「え、じゃあ今まで俺らどうやって喋ってたの…?」
「議題が無いと喋れない関係性なのか私達は」
「冗談だって。まぁ議題って程じゃないけどさ、気になった事があって」
「なに?」
「今日の体育、ペアでキャッチボールがあったんだけど」
「ああ、男子は野球だったね」
「1人見学だったのに、ペアが1人余ったんだよな」
「ん?どういうこと?」
「いや俺ら隣のクラスと合わせて25名でさ。見学で1人抜けたから24人のはずなんだよ」
「あぁ。それなのに1人余ったって事か」
「そうなんだよ!おかしいだろ?ミステリィィ!」
「普通に休んでる人がいたんでしょ。ノーミステリィィ!」
「それがさ、俺も体育が終わったあとに隣のクラス覗きにいったんだけど、今日は全員出席してるらしいんだよ」
「ふむ。うちのクラスも今日は男子は全員出席だもんなぁ…」
「だろ?やっぱおかしいんだって。学校の七不思議だぜ」
「大袈裟」
「でもほら、小学校の時上る時と降りるときで段数が変わる階段とかあったじゃん?」
「あーそんな七不思議あったね」
「それと同じで体育の授業だけ消える奴がいるんじゃね?」
「だとしたらその消えてる奴がもう怪異じゃんか」
「いやでも他に考えられないだろ?」
「そう?可能性だけで良いなら色々あると思うけど」
「え!?なんで!?俺の頭が悪いのか!?どんな可能性があるんだよ!?」
「まぁ山田の頭は悪いけど、ただの推理だからあくまで可能性だけど」
「おう」
「そうだなぁ…まずは、山田が気付かなかっただけで3人でキャッチボールしているグループがあった」
「なるほど。確かに俺は全員を見てたわけじゃないからな」
「次に、1人だと思っていた見学者が実は2人だった」
「そんな事ありえるか?」
「木の後ろで隠れるようにして休んでた…とか?」
「ん~でも何だか納得いかねぇなぁ」
「あとはそうだな…誰か1人が出席はしてるけど体育の時間だけ保健室で休んでいた」
「おお!それだ!!!」
「まぁ確認したわけじゃないし本当の所は分からんけどね」
「いや充分だわ、スッキリした!」
「ていうか何でそれが気になってたのか」
「んー…何となく」
「そっか。そう言えば1人余った人はどうしてたの?」
「ああ、それは俺が先生とキャッチボールしたぜ」
「うわ。ぼっち…」
「な!!ぼぼぼ、ぼっちじゃないわい!」
「冗談だって。どうせ自分から先生とキャッチボールしたんでしょ?」
「お、おう。そうだけど」
「ははは。相変わらずだよね、本当」
「何だよ、笑うなよな」
「そんで流石に次も先生とキャッチボールになるのは嫌だから、次は24人になるのか確認したかったと」
「全部バレてる。恥ずかしい」
「でもさ、山田忘れてると思うけど」
「?」
「その謎の1人が戻ったとしても、見学者も復帰した場合は結局25名で奇数だぞ」
「あ」
「まぁ、次回は偶数だといいね」
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