第18話
けいは顔を赤くして止まってしまったので、そのまま置いておくことにした。
時刻は六時半だ。夕べの祈りを始めよう。
「主よ、あなたは代々に私達の――」
けいは、ぽてぽて歩いてイスに座る。歩く度に胸が揺れるのが気になるところだ。……そういえば、彼女のサイズにあった下着を与えていなかったな。教会に孤児院へ、と寄付されたものを適当にあてがっていたが……買ってやる必要がありそうだ。
夏樹に聞けばすぐにバストサイズを答えていただろうが、彼に会うのは早くて明日の昼頃になる。それまでこのままでも良いと言えば良いか。今まで気にもしていなかったものだ。
だが、最近は良からぬ噂を聞きつけて冒険者が訪ねてくることも多い。彼女の
「けい。お前のバストサイズはいくつですか?」
「ふぇっ!? 神父様、それはセクハラやの!」
「……サキュバスにセクハラという概念存在するんですか?」
「それはパワハラやの! キメツケは駄目やの!」
面倒臭くなったきたな……。
だが、彼女の言うことはもっともだ。もう少し言い方というものがあったのかもしれない。夏樹にも「おまえはハッキリ言い過ぎだ」と言われたことがある。
遠回しに言って通じなくても意味がないので、最短最速で伝わるような言葉を選んでいるのだが、それが駄目らしい。
けいはぽよんぽよん跳ねている。この動きに何の意味があるのかさっぱりわからない。もしかすると私に何らかの魔法をかけているのかもしれないが、効果は無さそうだ。
「で、教えてくれないんですか?」
「聞いてどうするやの?」
「お前の下着を買おうと思っただけです。今は寄付された衣類を着てもらっていますが、きちんと体に合ったものを使いたいでしょう」
「それなら、ウチ、神父様が選んだ下着が良いやの」
「私はお前に選択権があるとは言っていませんが」
「せ、せめて、ウチに似合うやつを選んでくださいやの……」
「わかりました。サイズを教えてください」
「えっと……バストサイズはDやの。ぱんつはMサイズって書いてるやつならいけるやの」
「Dあるんですか?」
「あるやの!」
夏樹がけいの胸をじーっと見ていることがあったので、大きめなのかと思っていたが……それぐらいだったか。まあ、夏樹はEカップから特に騒ぐやつだ。
胸を張っているので、鷲掴みにしてみる。
「ぴぎゃっ!」
「サキュバスなんですから、胸を触られても問題ないでしょうが」
「さ、触られるんと触らせるんは違うんやの。心の準備ができてないやの」
「心の準備必要なんですか?」
「必要やの!」
サキュバスにも心の準備は必要らしい。一つ学んだ。
どうもこの娘は触られたい時とそうでない時があるようだ。これだけ胸を張っているのだから触るタイミングだと思ったが、違ったのか。
まあ、サキュバスの誘惑に乗ってしまうと司祭としてやっていけないのだが。
とりあえず、バストサイズがわかったので、ネットで注文しておくか。今夜頼めば明日の朝には届くはずだ。
「神父様はおっぱいおっきい子好き?」
「前も似たような話しませんでしたか? 私は太腿がむちむちしている女が好きです」
けいのような。
付け加えると、彼女は更に顔を赤くしていた。ずっと顔が赤いままなので、そろそろ熱があるのではないかと気になってくる。サキュバスを診てくれる病院があるのか調べてなかったな……。いや、夏樹に診てもらえば良いか。あいつはエクソシストであり、魔法薬師であり、医者だったはずだ。
それはそれとして、夕飯の支度をするか。
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