第3話 スキルとジョブ

 今日、俺は探索者協会へと向かう。

 理由はこの世界が何処まで知っているゲームと同じなのか確認する為だ。


 朝飯を食べてから探索者協会に行く為、家を出た。




 俺は探索者協会に到着した。大きな建物が目の前にあった。探索者協会の中へと入っていく。

 そこでは探索者登録をしてくれる受付がある。

 図書館って探索者登録していないと入れないんだっけ? そこら辺うろ覚えだから分からなくなっているんだよな。

 ……聞いてみれば分かるか。


 俺は受付の1つに顔を出した。対応が受付嬢がしてくれる。協会の制服姿がとても似合っていた。


「おはようございます。どのようなご用件で来たのでしょうか?」


「実はここにある図書館を利用したいのですが、探索者登録の有無を教えてくれませんか」


「協会にある図書館は探索者登録をしている人、探索者に関連する仕事の人以外は入れません。よって探索者の登録をしないと使用出来ないのです」


 そうか。なら登録を済ませよう。確か学生証と夜桜パッドがあればスムーズにいくはず。

 俺は学生証を取り出す。夜桜パッドを出して、2つを受付嬢に見せた。


「貴方、夜桜高校の生徒なのね」


「はい。それで探索者登録をお願いします」


「分かりました。夜桜パッドをお借りしますね」


 受付嬢は夜桜パッドにケーブルを挿した。近くにある画面と睨めっこをする。


『探索者の登録を完了しました』


 機械的な声が響く。受付嬢はマウスを上下に動かし画面を確認する。

 それが終えたらゲーブルを抜いて夜桜パッドを返してくれた。


「探索者の登録は完了しました。夜桜パッドを使えばダンジョンや施設の出入りに使用することが出来ます」


「ありがとうございます」


「……それと」


「うん?」


 受付嬢がこちらに顔を近付けてくる。俺も顔を近付けた。


「……注意して下さい。貴方のような人はコケにされたり、酷い目に合うかもしれません。ステータスを見せる時は十分注意して下さい」


「分かりました。ご忠告感謝します」


 お互いに小声で伝え合った。

 受付嬢は優しいな。俺の貧弱なステータスを見て想ってくれたんだろう。こちらが出来ることは心配を掛けないように了承することだけ。


「貴方が探索者として成功することを心より願っています」


「はい、ありがとうございました」


 俺は礼を言って受付から離れた。これで本来の場所に行ける。

 俺は図書館へと足を運んだ。




 図書館に着くと早速夜桜パッドが役に立った。夜桜パッドを出入り口にある機械に置くと通れる仕組みだった。

 夜桜パッドって便利だと改めて認識した。


「これで入れたことだし、調べものするか」


 俺が調べたいのはスキルの取得条件や発現方法。それとジョブだな。この辺りを調べて原作知識と比べてみよう。


 こうして俺は広大な図書館を駆ける。あっ、別に走ってはいない。早歩きで目的の本をかき集めていった。


「……うーん」


 本を読んだのは良いが、原作知識を知っている俺にとって結果は失望するものだった。


 スキルについての情報は大体原作知識と同じだ。しかし載ってないスキルも多かった。主にDLC(ダウンロードコンテンツ)のスキルは全部載っていなかった。

 更に情報の規制が入っている部分が多く見られた。特殊なスキルで影響を与えるからだろうか。それとも外国に情報を流したくは無いのか。

 強いスキルにも規制が入っている。汎用性の高さ、威力の高いものは見る限り少ない。

 でもここら辺は俺にとっては関係ない。バンバン覚えさせていただきます。


 ジョブもスキルと同じような現状である。上級ジョブの殆どが情報規制で何も書かれていなかった。これはジョブの希少性や重要度が高いからこうなっていた。ゲームでも同じで貴族や上級民族がジョブの発現情報を握っていた。

 DLCのジョブは記載されて無かった。スキルと同じような結果だった。


 ここから考えられるのは1つ。


 ――自分の知っている原作知識がこの世界ではかなりやばい。


 もし下手に話したら誰からも狙われる事態になってしまう。国が相手になる可能性だってあるのだ。はっきり言ってもう少し発展していてくれば良かったのにと考えられずにはいられない。


 この世界はDLCの無い初期のレジダンかもしれない。ここまでDLCが無いとそもそも条件すら知れてないのだろう。


「情報の扱いには注意が必要か」


 こんな難しい事態になるとは思ってもみなかったぞ。だから、だろうな。

 ……腹減った。




 俺は今、食堂エリアにいる。席に座っている目の前には天ぷら蕎麦があった。

 俺は七味を振りかける。


「いただきます」


 ズルズルと啜る蕎麦。汁と共に入ってくる味が美味しい。天ぷらもサクサクしていて美味しかった。

 嗚呼、旨いなここ。定期的に通いたくなるくらいには美味しかった。


 ズルズルと蕎麦を啜っていく。天ぷらを齧る。汁を吸った天ぷらもまた美味しい。俺はサクサクした天ぷらよりも汁をある程度吸った天ぷらの方が好きだ。


「ごちそうさまでした」


 俺は天ぷらそばを食べ終えた。

 トレーを持って片づけをする。その際に男主人公を含む4人の姿を見つけた。内2人に嫌われているので話掛けるようなことはせず、食堂を後にするのであった。





 あれからも俺は図書館でスキルやジョブについて調べたが結果は変わらなかった。本当に初期のレジダンに来てしまったのだろうか。

 その後は俺の武器について調べた。使う武器は剣だ。ゲームでも剣を使っていたからな。


 俺は剣術の本を読み頭に入れる。基礎的なことだが、重要なことだと思う。

 剣術の基礎が書かれた本を読み終わる頃にはすっかり夕日が照らしていた。


 俺は家に帰った。


 明日はダンジョンに潜ろう。





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