第1話 ゲーム内転移
Eクラスの全員と教室に入った。俺はすぐに退室してお手洗いに直行する。
俺自身の体をまだ確認していない。どうなっているのだろうか。既存のキャラなら主人公の可能性も!
ワクワクしながらお手洗いに入る。そこには鏡があり、俺を写し出してくれた。
「はっ? これが、俺!?」
俺は驚いた。マジか、とも思っている。何故ならこのキャラを知っているからだ。
この黒い短髪の彼は主人公と対立する悪役モブだ。どのルートでも主人公と敵対することになる。クラスに馴染めなかったのか途中からいなくなっていた。
そんなキャラに俺はなってしまったらしい。悪役になったのは自業自得だが、振り返ると何故か悲しくなってくる。
俺、『
「はぁ……」
思わず溜め息が出てくる。本当に俺の人生終わったか? こういうのって主人公とかモブになるパターンじゃないのか!
まぁ、仕方ないので自分の席に座ろう。
俺は自分の席に座ろうとする。その時記憶を思い出した。足を進めると窓側で一番後ろの角の席にいた。。
どうやら俺は不遇ポジションらしい。だってこの席順は成績によって決まるものだ。つまり……現時点で俺は学年最下位だ。
肩を落としたが仕方ない。もしかしたらログアウト出来るかもしれないし、それを知ってからでも遅くはないだろう。
俺は教室にいる生徒達を見る。そこにはヒロイン達がいて、不遇なキャラがいて、名の知らぬモブ達がいて……主人公が
どうして? 俺は本格的に詰んだのか!?
そんなことを考えていたら教室の扉が開いた。担任であろう、男性の先生が入ってきた。教壇の後ろに立つ。
「よし、座っているな。私はこのクラスを担任になった
軽い自己紹介を済ませると、今度はこちらが自己紹介するように伝える。順番は席順であり、俺は一番最後である。……自己紹介って何を話せば良いのだ。
「私は
ヒロインの一人。長い銀髪でポニーテールの少女。貴族であり、制服には特別な金色のバッチを付けていた。
「俺は
何故彼は自己紹介で軽い脅しをしているんだ。文句を言う奴はいない。こういう男と思っているのか、淳一が貴族だからだろうか。
彼も貴族なので金色のバッチを付けている。
「俺は
茶髪のショートカット。眼鏡をかけた知的系男子だ。しかし彼は熱い心を持っている。主人公の強力な相棒になること間違いなし。
「俺は
男性主人公である彼。黒髪で短髪。見た目だけなら普通……よりイケメンだけど。俺と彼とでは圧倒的な壁がある。主人公である奏汰とは関わりたくないな。
「私は
明るく笑顔で振るまう彼女は女性主人公である。赤色の髪にサイドテール。黒のリボンを結んでいた。彼女にもあまり関わらない方針を取るか。
「
桃色の髪を長く伸ばした少女。彼女は支援系に育てれば必ず役に立つ。バフを掛けたり、回復するのが得意だったな。心音は葵と同じくヒロインだ。
「
明莉と同じく元気な自己紹介をした彼女。茶髪の髪を青のリボンでツーサイドアップに纏めている少女。ヒロインではないけど人気のあるキャラクターだ。ただし不遇キャラである。
その後も自己紹介は進んでいく。いつしか俺の番になるだろう。
聞いている限りみんなジョブを決めているみたいだった。
どうしよう。俺全然決めてないんだけど。原作の
と思い出そうとしたが結局無理で出番が来てしまった。取り合えず適当に話すか。
「遠野和真です。ジョブについては……まだ決めてません。よろしくお願いします」
はい、自己紹介をしただけで周りの視線が悪い方に向いています。驚きだったり、馬鹿を見る視線だったり、一部は睨みつけてくる。特に淳一。
「チッ」
おっ、舌打ちしたな。多分この自己紹介で探索者を舐めていると思われたんだろう。似たような視線として葵と柊翔からも睨まれてる。
どうやら俺の自己紹介はとんでもないくらいに大失敗したらしい。
俺は気にしている素振りを見せず普通に座り込んだ。これ、大丈夫なのか?
それと気になる点が1つ。原作ではクラスメイトは全員で30名。しかしここでは
これは今考えるべきことじゃないだろう。東谷先生が話を進めようとしている。
「自己紹介は終わったな。なら次の行動に移す。机の上にある機械を見てくれ」
俺は東谷先生に言われた通り機械を見る。スマホに似ているそれはダンジョン関係で大きく貢献してくれる優れ物。その名は
「これは『夜桜パッド』だ。主に使うのは君達のステータスを確認する時だ。起動すれば君達のステータスを見ることが出来る。ステータスを確認するには一番下の真ん中に指を置くこと。そうすれば機械が君達のステータスを読み込む仕組みになっているぞ。試してみてくれ」
東谷先生の言う通り行動する生徒達。俺もすぐにスマホに似た夜桜パッドを起動する。
夜桜パッドはステータスを確認する以外でも使われた。よく使われていたのはメニュー画面だ。そこには『ログアウト』という項目があったからである。
俺は内心ドキドキしながら夜桜パッドを見つめている。起動が完了した。
俺は最初に夜桜パッドの画面をスライドさせる。しかしログアウトの項目は無かった。
これではっきりした。……俺はレジダンの世界に来てしまった。しかも悪役モブの和真になっていた。
考えても仕方ない。ここはレジダンの世界だと認識した上で行動しなければ。
俺は一呼吸する。周りはステータスのことで大盛り上がりだった。そんな情報晒して、大丈夫なのだろうか。
俺もステータスを確認した。
【名前】 遠野和真 Lv1
【ジョブ】 未登録
【HP】 8
【MP】 13
【STR】10
【VIT】 8
【AGI】 9
【INT】 5
【MND】 7
スキル〈1/2〉
【スローアップ】
……弱っ!? 弱過ぎだろ!!? これが俺のステータスなのか!? むしろこれでよく主人公に挑もうとしたな!?
俺は絶望を通り越して平常心に戻った。これが俺のステータスだ。
認めよう。俺が一番! 弱い!
このままじゃ主人公に粛清……夜桜から追放されるだろう。まさか一桁台があるとは思ってもいなかった。他はもっといいステータスをしているだろう。
でも初期スキルがあるとは思ってもみなかった。【スローアップ】。これ、原作の俺が使っていたか? ……今の俺じゃどんな効果なのか確認出来ない。
その後東谷先生はダンジョンと教会の設備について話を進めた。
「君達が使用するのは日本で3つある内に1つである『東都ダンジョン』だ。東都ダンジョンは階層ごとに魔物の強さが違うから自分で出来る範囲で頑張ってくれ。
また、東都ダンジョンは『探索者協会』が管理している。入りたいなら探索者協会で探索者登録をするように。学生証と夜桜パッドがあればスムーズに事が運ぶようになっている。この作業は来週の初めにも伝える予定である。以上」
これで東谷先生の話は終わり、波乱の入学式は終わりを迎えるのであった。
そういえば俺、何処に帰るんだ?
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