レジェンダリーダンジョン~悪役に転移した俺は本気で攻略する~
アンリミテッド
プロローグ
「ただいま~」
家に帰って挨拶をする。誰の返事もない。俺は独り暮らしだからだ。防犯意識もあるが、こうするのが当たり前だったからやっていた。
ネクタイを取り、スーツを脱いでいく。動きやすいルームウェアに着替えると、手を洗い夕飯の支度に取り掛かった。
ここからはいつも通り夕飯食って、風呂に入った。
俺は布団の上に腰を下ろした。今日はイベントのある日だった。
持っているのはVRで使うヘッドギア。その中にはゲームソフトが入っている。
今からプレイするのは『レジェンダリーダンジョン』。『レジダン』の愛称で親しまれているVRMMOだ。
レジダンはダンジョンと学園を中心にしたストーリーになっている。基本的には主人公は仲間と共にダンジョンに立ち向かう。学園では色々な思惑を持った生徒と関わることになる。生徒同士で争う展開も多い。
主人公は降りかかる問題の数々を解決に導いて、仲間と共に困難を乗り越える王道のストーリーだ。
2週目からはカスタムキャラを使える。主人公と同じ立ち位置でストーリーを攻略することになる。更に限定のルートや展開もあったりした。
ルートと言えばヒロインも多かった。様々なヒロインが主人公と共に歩み続けて、次第には結ばれた。ヒロインの笑顔は格別だった。
いつ振り返っても面白いゲームだと断言出来る。そんなことよりイベントに参加するとしよう。
俺はヘッドギアを頭に装着して起動する。タイトルロゴが現れて、ゲームの世界に降り立った。
レジダンの世界に入り込むと俺は早速お知らせを確認する。そこにはイベントのページがあった。
このイベントの参加条件は厳しい。基準をクリアしている俺でもギリギリだったような気がする。
俺は早速イベントのページをタップした。
どんなイベントなのか楽しみだ。
俺はイベントに参加した。沢山のプレイヤーがいた気がする。基準をこんなにクリアしていたとは、世界は広いと思った。
イベントの内容は……覚えていない。靄が掛かったみたいに風景が白に塗り潰される。誰かと会話したのか、何を見たのか、分からない。ゲームをしていてこんなことは一度もなかったのに。どうして。
困惑した俺でも覚えていることがあった。それは
『既存のキャラクターとカスタムキャラクター、どちらかを選んで下さい』
問われたのだ、俺は。その答えは覚えていないんだけど。どんな意味があるんだ? 新しいレジダンでも始まるのか?
そんなことを考えていた俺は急に意識が遠退いていく。慌てることも出来なかった。俺の頭の中にはただ一つ。
……どうしてこうなった!?
意識が覚めた瞬間、景色が変わっていた。
今いる場所は体育館みたいな場所。でも普通の体育館より断然広い気がする。
それに人に囲まれていた。
前を向けば白い髭をした老人が上に立っていた。スーツ姿で、やっぱり見たことある。
「是非、この夜桜高等学校で探索者を目指して頂きたい。夜桜高等学校は貴方達が探索者になることを心の底から願っています」
「……えっ?」
夜桜高等学校? 夜桜高等学校だと!? まさかあの老人、校長先生じゃねえか!!
ここまできてやっと思い出した。これはレジダンのオープニングだ。オープニングの映像で入学式をやっていたんだった。
これはレジダンだ。レジダンのストーリーを体験しているんだ。……じゃあ今はゲームの中なのか? それにしては、リアルな気がする。
心臓の鼓動が高まってくる。レジダンだと理解したのは良いが落ち着こう。
普通に考えればゲームの中。レジダンのストーリーをまた追体験する羽目になった。
もう1つはここが現実であること。ただ情報が少ないから断定は出来ない。
ログアウト出来たらゲーム。出来なかったら……現実なのだろうか。
俺が考え事をしている内に校長先生の話は終わった。ここでも校長先生の話は長かった。
「新入生の皆さん! ようこそ夜桜高等学校へ!!」
両腕を大きく上げて盛大にアピールをする校長先生。
だが忘れてはいけない。クラスによっては地獄を見る羽目になることを。
クラス順に退出していく生徒達。俺はその中でも一番最後であるEクラスだった。……主人公と同じ教室になるとは。
それにしても、俺はいったい誰なのだろうか?
そんな疑問を持ちつつ、俺はこの場を後にした。
まさか俺が主人公と敵対関係になる悪役モブ、『
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