3
レオの元に戻ると、レオは不機嫌な顔をしていた。仲間外れにされて不満だったみたい。
「アイツとなに話してたんだ?」
「うーんと、ないしょ」
「なっ!? なんだよ、それ」
レオは、ますます、つまらなそうな顔をする。でも、いくらレオでも、これだけは秘密だ。だって私とメルキアデスだけの、二人だけの秘密なんだもの。
「ねえ、レオも国に帰っちゃうの?」
「ああ。いくらみんなが目を覚ましたとは言え、全てが元通りって訳じゃない。それに、また同じようなことが起こるかもしれないんだ、外敵に対してきちんと対策しておかないとな。そういうアリスだって、いい加減、元いた世界に帰らないとだろ」
私は頷く。レオと同じように、私にもやらないといけないことがある。そう、未来を変えることだ。
たとえメルキアデスの書がなくなっても、アイスクリームの皇帝が生まれれば……。トロイメライが開発され、時空の扉を支配されたら、またレオの国に悲劇が起こってしまうかもしれない。寂しいけど……。
「レオ、また会える……?」
「ああ、絶対に迎えに行く」
「うん。私も行く」
しばらくの間、私たちは見つめ合い、次第にレオの額が私のそれにぴたりと重なる。レオの熱が素肌を通して伝わってくる。温かくて、くすぐったい。
「オレの中心には、いつもアリス、君がいる。君はオレの永遠の人だ」
「うん……。私にとってもレオ、あなたは永遠の人よ」
そう。あなたは、私の永遠の人──……。
瞬間、真っ白な光に包まれる。温かくて、優しくて。だけど、どうしてかな。苦しくて仕方ないの。でもこの痛みは、私のもの。私だけのものだ。絶対に、誰にも譲らない──……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます