第2話

お箸を置いて、手を合わせる。


「ごちそうさま」

「おそまつさまでしたっ。ノアちゃん、今日のご飯はどうだった?」

「美味しかったよ。ありがとうフウカ」

「んへへぇ~夢中で食べるノアちゃんかわいかったよ?」

「ぐっ……またしても妹扱いぃ……」


夢中で食べちゃうのはフウカのご飯が美味しすぎるからだよ! いやこんなこと考えてもしょうがないよね。

私は自分のカバンと一緒に置いてある袋を思い出した。今日の帰り道に買ってきたそれは今私の部屋に置いてある。

今日こそは、今日こそはあれを使ってフウカをドキドキさせてやるんだ。そう思って必死でスマホで調べて用意した品物。あれは私の最終兵器なんだよ。


「どうしたのノアちゃん? 会社で嫌なことでもあった? なでなでとハグが欲しいなら私はいつでも構わないよ?」

「フウカがしたいだけでしょそれ!? ……はぁ、ちょっと待ってて」

「んー? 分かったよ」


私はテーブルから離れて、自分の部屋に例の品物を取りに行った。

見てなさいフウカ、私は恋人なんだからあなたをドキドキさせることだってできるんだよ?

その余裕を完璧に崩してやるんだから!



「ねぇフウカっ」

「どうしたの? やっぱりハグが欲しいの?」

「いい加減ハグから離れてよ! ……フウカに渡したい物があるの」

「私に?」


椅子から立ち上がって私の正面にフウカが立った。私とフウカの身長差のせいで私の目の前にフウカのKが迫ってきた。どうしてあんなに大きいのかな……でも悲しいことに、私はOもあるんだよね! 唯一私がフウカに勝ってる部分だよ。どうだまいったか! いややっぱりこんなんでまいったとか言わないで。私も将来はフウカよりも家事も仕事もうまくなるから!


「うん……これだよ」

「ん……わぁ!」


私はフウカに一輪のお花を渡した。色々と考えたし調べたけど、フウカにはこういうのが効くかもしれないって思ったんだ。


「なにこれ綺麗! ノアちゃんが買ってきたの? えらいえらい!」

「そうでしょそうでしょー!」


フウカに頭を撫でられる。悔しいけどフウカのなでなではメンタルに効くから嫌いではないんだよねー……いやちょっと待って。


「ちがーう!」

「え!? どうしたのっ? これノアちゃんが買ってきたんじゃないの?」

「それは合ってる! 合ってるんだけど違うのぉ!」

「えぇー……?」


両手を上にあげて叫ぶ私にびっくりしたフウカが、頭の上に大量のハテナマークを浮かべる。


「……ごめん、ちょっと慌てすぎた。そのね……フウカ」

「うん?」

「……好き。私と恋人になってくれて、一緒に暮らしてくれてとても嬉しいの。だから、これは私の気持ちなの」

「ノアちゃん……」


私はフウカの手を取った。少し冷たい手を私の手の熱で温める。全く、何冷たくしてるのよ。


「大好きだよ。フウカ」

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