甘やかしてくる年上お姉さんな恋人に、思い切って責めてみたらすごい反撃をもらってしまった件

畳アンダーレ

第1話

「だたい……」

「お帰りぃ~! ノアちゃん今日も頑張ったね~!」

「ぐええ……ただいま……フウカっ」


私はドアを開ける……いや、ドアノブを回して引っ張ろうとしたら向こうから勢いよく開けられたんだ。

そして中から両腕を広げたままの人が出てきて、私は抱きしめられた。

抵抗しようにも身長差があって思うようにいかない。くっ悔しい……


「フウカってば、また玄関で待ってたの?」

「もちろんだよ~私はノアちゃんが帰ってきたときはね? 部屋に入る前にノアちゃんを抱きしめたいの!」

「はいはいそうですか……」


私はフウカに抱きしめられたまま、部屋の中に入れられた。ちんちくりんな私はフウカにとっては大きなぬいぐるみの様だ。


「仕事帰りのノアちゃんもかわいい~、ねっこのまま写真撮って良い? 額縁に飾るからっ」

「アホか。出勤前も写真撮ってたでしょ? 同じ服着てるんだから対して変わらないわよ」


エプロン姿のフウカは私の反論を流しながらスマホでパシャパシャ写真を撮りまくる。


「……フウカは変わらないよねぇ」


フウカに聞こえないようにつぶやいた。それでも悪態を付きつつもフウカには感謝しているんだよ。今から少し前に、私が大学を出て社会人になって一人暮らしをするときに、女の一人暮らしは大変だからって私よりも早く社会人になっていたフウカの部屋に住まわせてもらっている。


「えへへっノアちゃんコレクションがまた増えたっ!」

「毎日写真を撮っていればそりゃあどんどん増えていくって」


何より、恋人のフウカと一緒に暮らせると分かったときはそれはもう嬉しかった。胸もお腹の奥もきゅうぅうううっと締め付けられた。

ただ、私にはちょっとモヤモヤしているところがあるんだ。

フウカは……甘やかしが強すぎるんだよ。別に私自身が、自分に厳しくストイックに生きたいというアスリート気質な女っていう訳でもないけどね。


「良い子良い子~……ノアちゃん社会に出てもちゃんと頑張れてるね~」


ただ、これでは恋人同士というよりも姉妹なんだよね。妹を甘やかす姉、みたいな?

私はドキドキしているのに、フウカは全然そういう素振りを見せないんだ。

私自身は毎日フウカにドキドキしているのにね。ずるい。悔しい。

ベタベタと甘やかされているのが完全に嫌じゃないし、むしろ心地よいと感じてしまっているのがなお悔しい。


「フウカぁ、いい加減私を大人扱いしてよ……それかせめて恋人として扱ってほしいんだけど」

「えー? 私、ノアちゃん以外にこんなことしないよ?」

「そりゃあ私以外にベタベタしたら怒るよ」

「あーノアちゃん嫉妬してる? かわいいなぁもう!」

「あーもう抱きしめるなー!」


そうモヤモヤしている日々を過ごしていると、いつの間にか私の目標はフウカをドキドキさせることになっていた。

私は、フウカの恋人なんだから。彼女をドキドキさせるのは付き合っている彼女の役目。それができなきゃ彼女失格だと私は思っている。

私は、フウカが顔を赤くしてドキドキしているところが見たいんだ。今みたいな妹への態度じゃなくて恋人への態度を見せてほしいんだよ。

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