第3話 幽世の護人7

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 みつねとやみねと私。

 互いの顔が見られるよう、小さな円を作りながら私は改めて二人に問いかけた。

 二人のこと。黄泉月や冥一郎さんのこと。そして〝メ〟と呼ばれる私たち――魂魄うつわのこと。

 別に今まで教えて貰ったことを疑っているわけではない。

 でも、どんな人達なのか。私はみんなとどう〝違って〟いるのかを明確に理解したいと思ったからだ。

「みつねの判ることなら」

「やみねの話せることなら」

 私の戸惑いを、幼心ながら感じ取ってくれたのだろう。

 二人は、色々なことを二人の言葉なりに教えてくれた。

 だから、私は安心して二人の話に耳を傾け、状況を理解することができた。

「その禍津者……っていう怪物を退治しに、他の人は今出払っているのね。退治しないと、私たち魂魄うつわにとって良くないから」

『そうなの。禍津者の影響は、色々顕れかたが違う……だから、早く退治するに超したことはないの、なの』

「今この屋敷には、私以外の魂魄うつわはいない。他の魂魄うつわの人たちはまた別の場所で暮らしてる」

『そうなの。でも、不知火や胡蝶たち、みつねとやみねは別なの』

「あとは……他の魂魄うつわの人たちは、みんな『契り』というのを結んでいるから……『魂魄うつわ』じゃなくて今は『つがい』と呼ばれてる……であってる?」

『そうなの。みことはまだ『番』がいないから余計に危ないの、なの』

「……うーん?」

 みつねとやみね。二人揃って頷く姿とは反対に、私は首を傾げる。

「今日は、特に外に出ては駄目、なの」

「月の光が強いから」

「『幽冥の月』に見初められたみことは、危ないの」

 まるで言葉でお手玉をしているかのように、ぽんぽんと飛び跳ねていく。

 言いたいことは判る。理屈は、いまいち判らないところもある。

 それでもこの屋敷にいることで不都合が生じるとか、気分が悪くなるようなことはない。

 ただ単純に『危ない』という理由だけでこの屋敷に匿われることが、しっくりこなかった。

(なにかまだ、他に理由があるのかな……?)

 言葉に言い表すことはできない何か。

 どこか雲を掴むような感覚に、うんうんと唸ることしかできなかったその時だ。

「みこと。入ってもいいかのう?」

 不意に名前を呼ばれた。

「あ……。はい、どうぞ」

「うむ。失礼するぞ。……みつねとやみねの二人とは打ち解けられたか?」

「はい。二人ともとても良くしてくれました」

「そうかそうか。よくやったのう、二人とも」

『はい、なの。お師様』

 黄泉月の言葉に、みつねとやみねの二人はペコリと会釈をした。

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