第67話 最後の特級


 夏休みに入った。

 俺はいましたと二人で鹿児島に来ている。

 天文館をぶらつき車をアイテムボックスから出してドライブデートをしている。

 何故鹿児島なのかは特級ダンジョンがあるからだ。

 

 何も起こってないみたいだけど大丈夫なのか?

 フェリーで桜島にわたる。

「ここがダンジョンか」

『やめといた方がいいぜ』

「なんで?」

『この気配はあの子ね』

「どの子だよ」

『動かないからほっといていい』

「ナキまで、そんじゃあ沸き潰しでもするかな」

『それでいいと思うぞ』

『あんまり喋らないからね』

『黙ってるのに死なないから嫌い』

 だいぶみんなに嫌われてるな。

 シアとゆっくり探索してみるが、スライムばかりだ。

「もしかして最後もスライム?」

『あぁ、グラトニースライムだ』

『でも、やばいかも!』

「何かあったのか?」

『腹減ってんだろ?少し怒ってるっぽい』

「そりゃやばいな。活火山だから噴火しかねないぞ?」

「いそぐ?」

「そうだな、シアは大丈夫か?」

「うん問題ない」


 スライムもいろんな種類がいて結構苦戦する。

『オラオラ』

『氷漬けにしちゃうわよ』

『貴方死ぬのね、悲しいわ』

 ナキはいつのまにか鎌を持って戦っていた。

 さすが特級三人だから早いな。


『3時になったぞ!』

 ゾロゾロと戻って来てお菓子をねだる三人。

 ナキはシアの膝の上だ。

 途中の休憩が日課になってるな。


『そんじゃ50まではさっさといくか!』

『ですね』

『がんばる』

「よし行くぞ!」

『『『おおー!』』』

 50回想、思ったより手強いな。

 たまに出てくるゴールドスライムは経験値が多いから必ず仕留めているが、アシッドスライムなどクセの強いのが多いな!

「シア、疲れたらいつでも言ってな!」

「うん!まだ大丈夫だけど少し眠い」

「じゃあここはラテンと張ってなるか」

『コン。任せていいか?」

『おう。人間は不便だな』

「コンだって寝てる時あるじゃないか?」

『あれは寝たフリだ』

「まじかよ!こっちは起こさないように気をつけてたのに」

『俺くらいになると寝なくても平気だ』

「まじかよー」

 丸まって寝てるのが可愛かったのに。


「おはよー」

「おはよ」

 てかどんだけ狩ってきてんなだよ?

『暇だったから会いに行ってきたぞ?』

「でどうだった?」

『俺たちの待遇話したら俺もだってさ」

 黒い球を渡された。

“ぽよん”

 黒いスライムだった。

『腹減った』

「ハイハイ、これでいいかい?」

 俺は和菓子を出してあげると綺麗に平らげ、

『もっともっと』

 とせがんでくるが、

『3時になったらオヤツの時間だ』

『わかった』

 どうやら物分かりのいいスライムのようだ。グラと名付けた。


 これで日本の特級ダンジョンは全て解決したな。

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