第63話 疲れ


 はぁ、授業に遅れるのは仕方ないが、やりすぎたかな?でもあれくらいしないと逆に何かやってきそうだしなぁ。

「おっす!遅刻魔アーンド欠席魔!」

「うるさいぞ千聖」

「なんだよー、元気ないじゃん」

「まぁな。お前も校長室に行けば分かるよ」

 顔をブンブン振り、

「無理無理無理、私絶対無理」

「だろ?それを毎回呼ばれる俺の身にもなれっての!」

「大変だったなぁ」

 無理やり取り繕う千聖。

 とりあえずは授業の遅れを取り戻さないとな。

 三日もあれば授業の内容なんてわかんなくなるからな。

 先に勉強しといてよかったよ。

「皇!答えてみろ」

「無理だって言ってもわかんないんでしょうね!このクソババア」

「わたしはまだ24だ!クソババアではない!もういい、田中、答えろ」

 絶対に一度は俺にぶつけてくるあの鬼塚は恨みでもあんのか?


 昼休みはシアが来てくれて昼ごはんを一緒に食べている。

「今回は大変だったの?」

「今回も大変だったぞ?」

「ん?」

「特級は大変だよ」

「そうだよね、あと一個あるんだっけ?」

「あー。鹿児島にあるらしいけど鹿児島はパスだな」

「なんで?」

「北海道と同じくらい遠いぞ?」

「そうなんだ!」

 正直もう特級には行きたくない。疲れるからな。

 でもどうせ行くことになるんだろうなぁ。

 いっそこっちからいくか!なんて馬鹿なことはやめよう。


 家に帰るとコンとユキとナキ(と命名)を出しておやつタイムだ。

 なぜか俺の膝の上にナキが座っている。

『うまうま』

「そうか美味いか」

『甘やかせすぎじゃぞ』

『そうだそうだ』

「だってなぁ。ただの子供じゃないか」

『バンシーだって!お主も殺されかけ取ったじゃろ』

「でもいまは普通の子供と一緒だな」

 コンもユキも可愛いがナキは子供だからしょうがない。


 さてと、さすがに勉強しないとなぁ。

 って、大学は行かないから追い込みなんかかけないかど、一応は勉強だな。


 俺は勉強をはじめるが後ろでコン、ユキ、ナキがキャッキャしている。無心で勉強に取り組んでいると邪魔をしてくる。埒が開かないので風呂に入ると全員入って来ると溶けるのうといいながら湯船に浸かる。流石にユキは水のシャワーを浴びているが気持ち良さそうだ。

 眠くなったので帰るといい帰って行ってから勉強だ。こっちもかなり眠いが先にやっとかないと遅れてしまう。


「はぁ、眠い…」 


「は?あれ?」

 時計を見るともう昼間だ。

「学校は?」

「あら起きたのね、おはよー」

「母さん学校」

「隼人は頑張りすぎだから今日は家で寝てなさい」


 それじゃあ授業に遅れるが、母さんの言ったことは守らないとヤバい。

「少しは眠れた?」

「うん。それなりに」

「なら良かったわ、あまり無理しないでね」

「はい」

 ちゃっとだけ無理しすぎてたのかもな。

 コン、ユキ、ナキ、

『なんだ?』

『学校じゃありませんの?』

『お兄ちゃん』

「三人とも大福食べるか?」

『『『わーい』』』


『あーそりゃ母ちゃんの言う通りだと思うぜ』

『私達も負担になってたでしょうし』

『よしよし』

「だからこれからは出しとくから食べたくなったら来て食べるようにね」

『『『らじゃー』』』

 結構みんないい子なんだよなぁ。


「隼人大丈夫?」

「大丈夫だよシア」

「無理しすぎはダメだからね」

「おう!」

 チュッとキスをして部屋に戻るシアはやはり可愛いなぁ。


「どうしました校長?」

「いや、すまんかったのぉ、使いすぎて」

「しょうがないですよ。それだけのことですもん」

「一週間ほど休むか?」

「いえ、昨日はゆっくりしていましたから全快ですよ」

「それならいいが、無茶はあまり言わんようにするからのぉ」

「校長が無茶言う時は如何にもならない時なのは知ってますから大丈夫ですよ」

「う、ありがとうのう」

「じゃあ授業があるので!」

「おう、ほどほどに頑張れよ」 

「はい」

  

「皇!この問題に」

「答えられるわけないでしょ?」

「そうか、なら田中」

「鬼塚はいつも通りかよ」

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