第57話 特殊科


 冬休みが終わり、学校だ。

 なぜか俺の周りにみんなが集まってくる1人は剣を返しに来たり、1人はオーブを鑑定してくれと言ってやって来るのだ。

 まぁ。それくらいはいいが、

「マジックバック下さい」

「やらねぇって言ってるだろ?」

「だってマジックポーチじゃカッコつかないもん」

「マジックバックだっていろいろあるから言い張ればいいだろ?」

「そんな馬鹿な!嘘をつけと?」

「ならそのバックにマジックバックって書いてやるよ」

「やだよ!ダサいし!意味ないし!」

 こいつは本当に千聖の名がなくぞ!

「やめとけよ、こいつはこうと決めたら動かないぞ?」

「ん?健介、どうしたんだ?」

「いや遊びに来た」

「そうか。こいつをどうにかしてくれ」

「千聖って言います!マジックバック下さい」

「やだよ!俺だって苦労したんだからな!」

 あれ?健介にあげたの俺じゃないのか?

「いいなぁ。中級ダンジョン攻略したい」

「ダメに決まったんだろ?お前弱いし」

「あ、健介くんは中級ダンジョンは?」

「いってるけど、守る余裕なんかあるかよ」

「ぶー、ぶ!ぶ!ぶー!」

「豚になったらしいぞ」

「あははは」

 千聖は怒って蹴ってくる。


「あ、隼人君と健介、昼に特殊科みんな集まってって陽菜が言ってたよ」

「は?」

「なんだろな?」

「家庭科室だってさ」

「「はーい」」

「それじゃ」


「学パシられてるじゃん?」

「そうだな!」

「私も特殊科がよかった!」

「本当にそう思うか?」

 健介が久しぶりに怒ってるな。

「い、いえ、冗談です」

「だよな!特殊科のやつに言ってみろ?マジでぶん殴るからな」

「は、はい」

「そこまでにしとけよ。健介」

「あ、おう。じゃあ昼な!」

「おう!」

 そらから千聖は黙ったままだった。怖がらせすぎだ馬鹿!



「んで?なんのようなんだ?」

「まぁ、座りなよ」

「弁当でも食いながらさ」

 いつもの陽菜である。

 学に佐々木、健介がいて俺、シア、月見、陽菜だ。

「そろそろ中級ダンジョン攻略しとかないとなぁ、って思ってさ」

「なんだよ、そんなことかよー」

「だって男チームも攻略できてないんでしょ?」

「学か…」

「うん、僕もそろそろみんなで攻略するのもいいかなってさ」

 学がみんなに向けて言う。

「俺は?」

「監督って感じ?」

「監督かよ」

 ん?監督いるのか?

「んで、私達後衛にシアが前衛をやって結構いいとこまで行ってたのよ」

「まじかよ、こっちは前衛しかいないからな」

 まぁ、シアがいるだけで女チームの方が強いけどな。

「じゃあ6人でやるってことか?」

「そう言うこと、あーしらもちゃんとやるし」

「分かった!んじゃ。次の土曜でいいな」

「おけ」


 土曜日は中級ダンジョンにみんな集まった。シアはもちろんバトルメイジだな。

「んじゃ!最初から最後まで気を抜くなよ!」

「「「「「おう!!」」」」」

 

 中に入ると健介が前衛、佐々木学が横をその後ろに陽菜と月見がいて殿がシアだ。

「らぁ!」

 1階層から健介が張り切っているが、ちゃんとペース配分分かってるのかね?

「さっさといつもの場所まで行くぞ」

「「おう」」

「いつもの場所?」

「着いていけば分かるんじゃない?」

 

 着いたのは12階層の中ほど。角に陣取って飯を食べ始める。

「女子はあとな!」

「なんでよ?」

「寄ってくるからだよ」

「匂いに釣られてね」

「あーね」

 飯をかきこんだ健介が剣を握ると、

「飯食っていいぞ」

「はーい」

 女チームもいつもより食べるスピードが速い。

「食べ終わったよ!」 

「よし!それじゃ!最下層までいくぞー」

「「「「「オー」」」」 

 それからはスムーズに連携してモンスターを倒していく。ようやく30階層に辿り着いた。満身創痍だな。

『乙女の雫』

 聖女専用の回復魔法だ。

「よし!みんないくぞ!」

 扉を開けるとボスのゴーレムが立ち塞がる!『フリーズ』

「いまだー!」

 インフェルノや、ストーンアローが飛び交う中をスラッシュで剣を叩きつける健介、フリーズが解けると今度はゴーレムが腕を振り上げて攻撃してくるのを盾でいなすと、佐々木がギガクラッシュを使う。よろけるゴーレムにダブルスラッシュを使う健介とフリーズをまたかけるシア。ラストに佐々木がギガクラッシュを打ち込むとゴーレムは塵になって消えて行った。

「「「「「「やったー」」」」」」

 ドロップは魔石とマジックバック。

 宝箱からは三百万円とスキルオーブランダムが入っていた。

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