第56話 女の意地とジョブオーブ


 今日は学校だ。校長達も気合が入っている。

 朝から元気だなぁーと思いながら話を聞いてる。

 あと一学期で三年か。

 長かったような短かったような感じだな。

 目の前には包帯を巻いた奴、もう知らないから、治してやらない。

 これ見よがしに痛がっている。

 授業中もさも痛い痛いと喚いているがしらない。

「さすがに治してくれてもいいでしょ?」

「中級いったんだな?」

「いやそれは」

「なんでこだわる?」

「…マジックバックが欲しいから」

「馬鹿じゃねえの?」

「馬鹿です!申しませんから治してください」

「もう知らんと言っただろ?」

「う。うわーん」

「五月蝿い」

「だって、欲しいんだもん!こんなのわかんないでしょ!」

「わからんな、死ぬより恐ろしいことはないのに」

「死んで無いし!生きてるからいいんだし!」

「いつか死ぬぞ」

「だって諦めきれないんだもん」

「手に負えないな」

「な、治してくださいよ」

「やだ」

「痕が残るから、早く」

「自業自得だ」

「もう行かないから」

「三年になったらクラス替えでお前と同じにはしてもらわない」

「は?まじで?なんで?」

「治してもらえると思ってるから行くのであって治す人がいなければアホが治るかもしれないだろ?」

「面と向かって言う?」

「言う、だってただのクラスメイトだから」

「じゃ。じゃあいいわよ!」

 前の席なので後ろを振り向かないぎりこちやからは顔は見えない。

 泣いているのだろうが自業自得すぎるのだ。

 昼間すぎて放課後に帰ろうとしたら捕まれる。

「治してください」

「ほんとつにこれが最後な『エクスキューション』」

「ありがとうございます」

 千聖は顔を隠して帰って行った。


 次の日から千聖は態度が変わった。俺と口を聞かなくなった。それはいい。自分でなんとかしろ。


 生傷が絶えないが治してと言うこともなくなった。初級ダンジョンでレベル上げをしているのだろう。


 俺は無視を続けた千聖がどう言う気持ちかはわからないが自分でなんとかすると決めたのだから俺が口を出すことでは無い。

 まぁ少し寂しいがこのままだと死ぬからな。


 包帯を巻いて学校に来た、

「初級ダンジョンクリアした!」

「おめでとう。でも、まだ中級は無理だな」

「分かってるよ」

『エクスキューション 』

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

「でもマジックポーチは手に入れた!」

「そうか、よかったな!」

「うん!」

 笑顔が眩しかった。


「と、友達でいてよね」

「わかったよ」

「やったー」

「初級で怪我しなくなったら中級に挑戦だな」

「まだ果てしないんですけど」


 三年まであと少しだ。

 流石に校長も考えてくれるだろう。

 シアと一緒に学校で生活したいといったんだからな!しなかったらあの禿頭どうしてくれようか?


 上級ダンジョンをクリアして、魔石とマジックバックをアイテムボックスにしまい、500万円とスキルオーブのランダムをしまう。

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 剣聖(威圧 剣技 飛燕剣 豪剣 受け流し 剣技『突』 剣技『回』 剣技『斬』 剣技『終』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 剣聖もレベル99になったことだしもうないだろうな?ないの!ジョブオーブなんて見たくない!

 なのに。

「これ、隼人君に!」

「ジョブオーブ拳聖か」

「あれ?」

「うれしいよ、ありがとう」

「どういたしまして!」

 佐々木が持ってきてくれたジョブオーブを取り込む。

 まだあったか!

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