第55話 懲りない奴と大発見


 春うらら、とはいかずにまだまだ寒い時期が続く。休みはいいけど長期旅行と新年で、力を使い果たしたぞ。

「ねぇ。ダンジョンいこうよー」

「わるい、今日は休ませてくれ」

「体調悪いの?」

「疲れてるだけだよ」

「あぁ。1人で特級なんか行くからだよ?」

「だよなー。普通1人で高校生を特級なんかに行かせるバカな校長がいたんですよー」

「なーにー」

 やっちまったなぁは恥ずかしがって言えないうちの可愛い嫁だ。

「はぁ。疲れたなぁ」

 知らない間に眠ってしまったようだ。

 ってコンとユキも、こちらにきて寝ているようだった…心配かけたかな?

 おし起きようと思ったらシアも一緒に眠っていたのでそのまままた微睡んで寝てしまった。


 次の日は、全開だぜ!

 って言っても母さんが作った雑煮を食べたり。コンとユキにお菓子をあげたりしていた。

 シアはそれを横でずっと見ている。

 こんな2人でずっと一緒にいたいなぁ。

 昨日はダンジョンに行けなかったからとりあえず中級でもいってみるかな?

 聞いてみると行くと言うのでいってみることにした。


 いまさら中級ダンジョンもないだろうと思うが。これが命取りになるかもしれないので慎重に行こうとするが、コンとユキで争うように暴れてモンスターを倒して行く。

「コンちゃんもユキちゃんも強いんだねー」

 あたりまえだ。特級ダンジョンの主だからな。俺なんかはドロップ品を拾って回っている。競争でもしてるのかと言うくらいに頑張っているが…三時には戻って来る二匹!

『やるな!』

『あなたこそ』

「いや俺たちがレベル上げしたいのになぁ」

『こんなところでレベルなんか上がるかよ』

『2人とも1000超えてるんだから散歩でしょ?』

「まあね」

「なんていってるの?」

「2人とも1000超えてるから散歩だろってさ」

「ま、まあねぇ」

「そう言われるとキツイもんがあるよな」

 かと言って特級に二日かけて挑むなんて馬鹿なことはできるだけしたくないし

 まぁ、散歩を楽しむとしようかな?

 

 中級ダンジョンを歩いてるとクラスメイトと思わしき1人が半べそで逃げてきている。

「千聖!馬鹿なのか?」

「たすけてよー!」

 コンが行ったので見ているとすぐにモンスターを倒している。


「隼人君助かったよ」

「知らん。もう知らん」

「そんな!帰りまで付き合ってよー」

「いいよ」

「シア様!ありがとうございます」

「パーティーは組まないから経験値は無いぞ?」

「え?」

「当たり前だろ。俺はもう知らないからな」

 本気で怒ってるのが分かったのか、

「ごめんなさい」

 とだけ言ってついて来る。


「じゃあな」

「はい、ごめんなさい」

「がんばってね」

 とシアはいうが、これまで散々迷惑かけるんだから、もう知らない。

「普通に初級からやればいいんだよ」

「なにか理由でも」

「ないね、家も立派な家だったし、甘えてるだけだ」

「そっか」

 あれば行って来るだろう。あいつは自分を過信し過ぎだ。


 次の日はとうとう冬休み最終日。

 家でゴロゴロとコンとしている。今日はユキは来ていない。

『のう、なんかひまじゃのう』

「しょうがないだろ?明日から学校だ」

『また留守番か、どっか連れてけ』

「んー、買い物でも行くか?」

『そうじゃな!甘いものでも買うか』

 2人揃って出かける。

 街をぶらついていると、

『あんこの甘い匂いがするぞ』

「この辺に和菓子屋なんて…あった」

 古い作りの家で古今堂と書かれている。

『ここ入ろう』

「はいよ」

 おばあさんが店をやっている。

『これとこれとアレとそれも』

「草餅とあんこ餅と豆大福と金平糖を下さい。あるだけ」

「本当にそんなに買うのかい?日持ちしないよ?」

「だいじょうぶです。アイテムボックスって便利なのがいるんで」

「わかったけど食べ物を粗末にするんじゃ無いよ」

「はい!」

 大量に買って機嫌が治ったのか歩く姿が凛としている。

 家に帰って食べてみた。

『美味い!美味いぞ!』

「ほんとだ、手作りなんだろうなぁ」

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