第54話 北海道旅行&新年


 ようやく合流できた俺たちは、二匹を召喚して一緒に行動する。旅館に泊まり、スキーを楽しみ、温泉で癒される。最高の旅だ。

「んで?学はどうなんだよ?アタックしてんのか?」

「そんなのしてないよ。僕なんて眼中にないだろうし」

「そうかな?よく学ぶのこと見てる気がするぞ」

「「「え!」」」

「まじか!こりゃ、やべえぞ!」

「僕達も、彼女作らないと!」

 なんてボーイズトークに花を咲かせている横では、

「本当によくできた息子さんですな」

「いやそんな、校長こそ東大にお孫さんがはいったとか!」

「いや、あっはっは」

 と酒を酌み交わす大人達。の横では。

「わたしダメだったから隼人は諦めて2人を祝うよ」

「本当に!やった!」

「シアはいいよなー、あーしなんて」

「学君でしょ?」

「大丈夫だって!」

「そうそう!学君よく陽菜のこと見てるし」

「「マジで!!」」

「うん」

 と言うことがあったりし、北海道の夜は過ぎていった。


「短かったな北海道!」

「俺はそれよりも短かったぞ!」

「それはしょうがない」

「お土産もたくさん買ったし」

「親孝行もできたな!」

 と校長が言う。

「「「「はい」」」」

「それじゃあ、家に着くまでが修学旅行じゃからな!」

「はい!校長も良いお年を!」

「あぁ。みんなもな」

 車で帰って行く。俺たちも別れて車で帰ると旅の疲れでぐったりしてしまう。

『おい!三時はとっくに過ぎてるぞ』

『ここが隼人の家ですか』

 そうだった、一匹増えたんだったな。

「ほい。北海道土産でも食べろ」

『『わーい』』

 もっちゃもっちゃ言わせながら母さんの入れたお茶を飲む。

「ほんとコンちゃんにユキちゃんは可愛いわね」

 雪女はユキと命名された。

 召喚している間はおれの魔力も減っていってるが微々たるもんだ。


「お前腹が出てるぞ!」

『こりゃ食ったら出るじゃろ』

「そういうもんか。それよりもユキはこっちにいて大丈夫なのか?」

『なにが?』

「いや、結構あったかくしてるからさ」

『さわるとわかると思いますけど』

「つめたっ!」

『薄く幕を作ってますから大丈夫』


 上手いことやるもんだな。

「何おしゃべりしてるの?」

「ん?シアは可愛いなぁってさ」

『『ゲロ甘』』

「違うこと話してたでしょ?」

「あぁ。そうだけど大したことじゃないんだよ」

「そうなんだ。可愛いねぇ」

「可愛いってさ」

『まあな』

『あら、あたしのことでしょ?』

『なんだとこのいじけ虫が』

『うるさいわね。一本しかないくせに』

『あ。テメェ言っちゃダメだろそれ?』

『ふん』

 涙目になるコン。

「あれ?喧嘩かな?だめですよ、喧嘩は?」

「あははは、喧嘩はやめろってさ」

『分かっとるワイ』

『ただのじゃれあい』

 仲良くしてくれよ?ほんとに。



 新年を迎え、俺たちはまた神社にお詣りに来ていた。

 俺の願いはやっぱりシアとの幸せだな。


 といつの間にかくっついている学と陽菜。

 佐々木、健介、月見は悔しがっているが誰とも付き合うことはしないみたいだな。


 まぁ、誰がくっついたとかそんなん関係なくシアと2人いればいいかな。あとはおまけで皆んなもだけどな。

『りんご飴!綿菓子!』

『わたしは焼きそばを食べたい』

「分かったから。買うから待ってろ」

 ガツガツ食う二匹を、見つめながらこいつらも長い間我慢してたんだもんな。などと、思ったりしない!我慢しろ!少しくらい!


 屋台で狐の面を被ったシア、しかも着物だぜ?可愛くないはずがない!

 学がこっちにやってきて、

「あ、ありがとう!僕の決心がついたのは隼人君が言ってくれたおかげだよ!」

「あははは、学が頑張ったんだから自分を褒めろよな」

「あ、あははは」

 少しずつ変わって行くけど変わらない物だって沢山あるのだから。

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