第53話 新しい仲間


 さっさと終わらすと思いきや3時のおやつはしっかり食べるやつ!

『満足、満足』

「さ、寒い」

『かーー!!』

「ありがとう、動いてないと死んでしまうぞ」

『3時のおやつは絶対じゃ!』

「わかったからいくぞ!」

『おう』


 二日かけて100階層まで来た、が、寒くて凍える。

『かーーー!!!』

「サンキュー」

『いくぞ!』

 扉を開けると悲しそうな瞳をした女の人が。だがよく見ると憎悪の目をしている。

『なんで人間がこんなところに!それに九尾の狐まで!』

『雪女!この吹雪を止めろ』

『何故じゃ!そいつは人間じゃろうが!』

『あぁ、長い事戦って分かったのだ、此奴はただの人間ではないとな』

「あのさ、すこしでいいからこの吹雪を止めてくれないか?」

 雪女は吹雪を止めるとこちらに近づいてきた。

『人間!なぜ、妾がこんなところに閉じ込められているか知っておるのか?』

「知らない。それを聞きにきたんだ」

『妾は愛した人がいた。だが裏切られこんな所に閉じ込められた!』

「その人はもういないよ、もう死んでいる」

『それでも人間は根絶やしにするつもりじゃ』

「これ最初のお前と一緒な」

『一緒にするな!』

「はぁ、一週間で足りるかな?」

『お前たちはなにをいっておるのじゃ!凍え死んでしまえ!』

 猛吹雪が辺りを激しく凍り付かせる。

『抜刀一閃』

『ギャアァァァァァァ』

 吹雪が止み雪女が息絶える寸前。

「俺は何度でもここにくるから」

『殺してやる』

 塵になってドロップを落とす魔石とマジクバック。宝箱には一千万円と魔導書。光魔法だ。

「はぁ。どうしようか」

『扉を閉めて待てばまた出て来るぞ?』

「早く言えよ!」


 扉を閉めて一時間ほど経つとまた吹雪いてきた。扉を開けると雪女が恨めしそうにこちらを睨んでいる。

『さっさと出ていけ!』

「やだね!戦えばすこしは気も晴れるだろ?」

『一撃で倒しておいてよく言う』

 コンが余計なことを言う。

『氷華』

「うおぉぉ!『エンドオブハート』」

『また負けたか』

「人間は強くなる。それは雪女だってそうだろ?1人の男に執着しすぎるなよ!」

『執着しすぎ…』

 ドロップを拾う。宝箱はもうない。

 また扉を閉じてコンのオヤツタイムだ。

「食い過ぎだぞ?」

『火を使いすぎて腹が減るのじゃ』


 また、吹雪いてきたがマシだな。

 扉を開けると雪女が座っていた。

『妾は執着しておったのか?』

「そうだな。男は1人じゃないんだしさ」

『そうじゃの。強い男は好きよ?』

「俺はダメだ!嫁がいるからな!」

『なんじゃ、残念じゃのぉ。それより九尾の狐はどうやって此奴についてきておる?』

『なんじゃ?ワシだけだぞ!こいつにつくのは!』

『そんなこと言わずにさぁ!』

「俺は召喚士でもある」

『あっ!隼人!テメェ言っちゃダメだろ!』

『そうか。さすればこれを持っておいてくれぬか?』

「ハンカチ?」

『もういいじゃろ!』

『あぁ、もういい』

「なら俺は帰るからね!元気でな!」

『またの』


 ハンカチをアイテムボックスに入れると転移陣で外に出る。

 はぁ、こんなにいい所だったんだな!時間を見ると午後二時だった。

「さて帰ろうか?」

『ほれついてきおった』

『よろしくのぅ、隼人』

 真っ白いウサギが肩に乗る。

「まさか雪女か?」

『そのまさかじゃ。こんな姿で申し訳ないがな』

『ええい。ハンカチなど捨ててしまえばいいんじゃ!』

「お前のはなんだ?あ、アイテムバックか?」

『それは絶対捨てるなよ』

 あのフワフワのアイテムバックだったわけだ。

「まぁ、いいか、これから他の人と合流するから2人ともまた後でな!」

『あいよ!』

『まってるわよ』


「はぁ。さて、いまはどこかなぁ」

 俺は校長達と合流するためにしおりを見るのであった。

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