第61話 泣く通天閣
借家にも慣れて学校も始まった。
晴れて三年生だ。
結構大きな借家を借りれたのでだいぶ満足している。
親は自分達が払うと言っていたが、俺が現金を出すと納得してくれた。だって、校長の件での一億にも手をつけていないからな。
学校に行くと火事のことを知ったみんなが心配してくれたが、新しく立て直すと言うと金持ちだなぁと言われ安心してくれていた。
その前にクラス替えだ。結局校長の権限は無く、シアとは別のクラスになってしまったし、他の誰ともかぶってない。そして5組。
佐々木も俺と同じ気分だろうな。
そしてなぜかいる千聖!席は遠いがな!
「席に着け」
そして鬼塚も一緒。
「みんないるな」
「はい」
「ならよし!」
「皇!校長が呼んでるぞ」
「また?」
俺は教室を出て校長室に向かう。
“コンコン”
「入りたまえ」
「失礼しますそして断る!」
「まぁ、座りたまえ」
「座りますけど断る!」
「…おおさ「断る!」言ったっていいじゃん」
「クラス替えに物申す!」
「ぜひにと鬼塚先生に言われてな」
「うっそだぁー!」
「これは本当だ。楽なんだろうな」
「くそっ!本当っぽいな」
「シアは?」
「ちょくちょくいなくなるのに可哀想じゃろ?」
「その通りですね!で?どうせ特級ダンジョンでしょ?何も起きてないならそっとしといた方がいいですよ?」
「そうも言っておれんのじゃ。雨が降り続けておってな」
「次は雨ですか?」
「行ってくれんかのぉ?」
「僕の家も大変だったんですけど?」
「それは知っとる。大変じゃったの」
「それでも行けと?」
「うーん。水没してしまう家が出てきてしまう前になんとかできればいいのじゃが」
「はいはい。わかりましたよ」
「行ってくれるか!」
「行かないと行けないじゃないですか!」
そんな人の弱みに漬け込むような真似して!
「旅費と報酬は出す!これは国から出るのじゃ」
「またばかにした金額じゃないでしょうね?」
「今回は違うぞ!ちゃんと交渉したからの!」
「わかりましたよ、で?いまから?」
「いまからじゃ」
「はいはい」
新幹線で大阪まで移動する。
大雨が降ってるなぁ。タクシーで通天閣までと言って走ってもらうが迂回ばっかりだ、
「すまんなにいちゃん!水が多すぎて通れんのや」
「あー、それなら仕方ないですね」
なんとか着いたがタクシーの人も途中でメーターを切ってくれた。
ここが通天閣か。五階の黄金の展望台の中にダンジョンがある。
『こっちだ』
コンが言うとそこにはダンジョンがあった。
『さて。泣きっ面でも拝みに行くか?』
『あの子まだ泣いてるのね』
「知ってるのか?」
『『まあね』』
「ならいくか!」
ダンジョンを降りていく。コンとユキが頑張っているがそれなりの数のモンスターだから俺も参戦する。よほど放置されていたのかモンスターが多い。
『3時だ』
「こんな時に食えるのか?」
『かあーーーーー!!!』
「あっつ!」
『これでいっときは大丈夫、ほれいちご大福をだしな』
『私はミルフィーユで、お願いします』
ユキはどちらかと言うと洋菓子が好きだな、和菓子も食うけど。
2人が食べてる間に俺は戦っている。
ここら辺しか出番がないのもなんだかなぁ。
2人がたっぷり時間をかけて堪能したあとは凄い勢いでモンスターを倒していく。
それなりにやっぱ強いんだなぁと感心しながら俺も戦う、ドロップも忘れずにアイテムボックスに拾っていく。
ついに100階層に到着したが2人とも入ろうとしない?
「どうした?」
『俺は苦手なんだよ』
『わたしもですね』
そんじゃ俺が開けてみるか。
「びえぇぇぇぇぇぇぇ」
「うっるさっ!!」
『びぇ?誰?あっ!狐と雪女!』
『この格好でわかるのかよ』
『さすが妖精ね』
「妖精?」
『日本じゃ泣女と呼ばれるが海外じゃバンシーと呼ばれとるのぉ』
「お兄ちゃん誰?」
『隼人じゃ』
「隼人ですよろしく」
『はいよろしく』
ただの可愛い女の子にした差が見えないが?
「なんで泣いてたの?」
『貴方が死ぬから』
大きな鎌を持って首を狙いにきたので避ける。
「何すんだよ?!」
『だって貴方が死ぬんだもの』
「『エンドオブハート』死ぬかよ!」
『貴方は死ぬわ』
ドロップに魔石とジョブオーブの砕王が出たので取り込む。宝箱には一千万円とスキルオーブランダムが入っていた。
『ヨォ避けたな』
『あの子殺すのが得意なのよ?』
「殺されてたまるかよ!」
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