第59話 春休みとダンジョン


 卒業式が終わり春休みである。

 短いが休みはいいもんだな。

 コンとユキが言い合っているが、

『こっからこっちが俺の大福だ』

『あんた最初にたべたから一個よこしなさい』

「あー、平和だなぁ」

「なにが?」

「ん、平和だなぁって」

「そうだね!でも私達は戦場に行って来るよ」

 ついに3人とも上級ダンジョンにいくのか!

「怪我したら聖女がいるんだし大丈夫だと思うけど無理するなよ」

「うん!」

「あーしらの力見せつけてやる」

「だね!頑張ろう」

「「「おー」」」

「おー頑張ってな!」

「はーい!」


 3人は楽しそうに出て行った。

 上級だから一日はかからないだろ。

 だがその日帰ってきたのは夜中だった。

「隼人!早く!」

『エクスキューション』

 陽菜が目を覚ました。

「ごめんね陽菜!私のせいで!」

「違うよう!私が治せなかったんだから!」

「2人とも大丈夫!あーしは元気になったから!隼人もありがとね」

「どうしたんだ?」

「レアモンスターがでたの!すごく早くて追いつけなかったの!そしたら陽菜が」

「あー、レアモンスターには注意しろって言っただろ?」

「うん、前衛通り越して後衛にいくなんて」

「頭のいいレアモンスターだな?倒したのか?」

「うん!それは倒した!」

「そうか、なら大丈夫だな」

 レアモンスターは放置しておくと危険だ。人間を襲ってレベルを上げて来るからな!


「でも初陣がレアモンスターにやられてしまった」

「しょうがないよ!また行こう!」

「そうね!また行こう!」

 こいつらは安心してみてられるな。


 明日はユキが特級ダンジョンを、みたいって言うからコンのダンジョンに行くことなっている。コンはダンジョンにいると言うので2人で行ってみる。

『楽勝ね』

「まだ、浅いとこだからね」

『途中のオヤツ休憩はどうするのかしら?』

「来るだろうな」


『三時じゃぞ!まだこんなところにおるのか!』

「二日はかかるのに早いだろうが」

『そうよ。待てない男はモテないわよ』

『けっ!それよりおやつじゃ!みたらし団子!』

「はいよ」

『わたしは白玉ぜんざいで』

 なんでも出て来る不思議なアイテムボックス 。

『どうじゃワシのダンジョンは?』

『まあまあね、ただちょっと暑いわね』

「まぁ、慣れだろうな」

『そうじゃぞ、ちょっと暑いくらいがちょうどいいのじゃ』

『私は少し寒い方がいいわね』

『けっ!』

『ふんっ!』

「喧嘩すんなよな」

 毎回徹夜でこのダンジョンは攻略してるからな。そのままダンジョン探索をしているが、ユキが眠っていいといったくれたので寝ることができたが、起きたら魔石の山ができていた。アイテムボックスにしまい、また進む。100階層に着いたのはその日の夜中だった。

 扉を開けるとデカい九尾の狐がデンッと座っていた。

『よくきたのぉ。ここがわしの城じゃ』

『悪趣味ですね』

『な、な、なにおぉ!』

「やめろよ!喧嘩すんなって!」

『わかったのじゃ。でもせめて掃除くらいはしなさいよ』

『掃除なんて面倒じゃ』

「汚部屋ですね』

『くっー、言いたい放題じゃのぉ!』

『片付けて差し上げますわ』

 部屋が氷で覆われてゴミが塵になって片付いた!

「つ、使うなら使うと言ってくれ、凍えそうだぞ」

『い、いま暖かくする』


 あったかくはなった。綺麗にもなった。が、俺と九尾の狐は怯えていた。

『綺麗になったでしょ?』

『あ、あぁ』

「やりすぎだよ」

『まぁ、こっちのダンジョンもなかなかね』

『だろ?こいつしか入ってきてないんだぜ』

「そりゃ、当たり前だろ?」

 他の人には辛すぎるダンジョンだ。

 俺だってつらいんだからな。


 もうここ来なくていいんじゃないか?

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