第51話 バトルメイジ


「ねぇ隼人」

「なんだ?シア」

「最近ダンジョンに一緒に行ってない」

「いかなくてもよくなったからな」

「でもコンと2人でいってるじゃん」

「あれはもはや散歩に近いぞ?」

「あー。私も2人で行きたいの」

「わかったよ。上級ダンジョンでいいか?」

「うん!」

 いかなくても良くなったのに行きたいってどう言うことだ?


「は?」

「バトルメイジをしたい?」

「うん、3人で行くと前衛がいないからさ」

「コンを、連れていけば?」

「コンチャンは隼人と離れられないでしょ?」

 今コンは学校があるので送還中だ。

「何を使うつもりだ?」

「剣かな?」

「メイジならロッドか、メイスだな?どっちもあるからやってみようか」

「うん!」

 

 なんだかんだで器用にどっちもこなすシアは前衛もこなせるな。

「どっちがよかった?」

「メイスかな?重さがある分ゴーレムとかもいけそうだし!」

「あー。そうだな、じゃあメイスを少し改良するよ」

「ブラックスミスで?」

「そうだよ。そのメイスを貸してみて」

 武器強化と、付与魔術でバトルメイスが、アイスバトルメイス++に変わった。

「ほい」

「うわ。ありがとう隼人」

「どういたしまして」

 あいつらのも++にしてあるから中級くらいなら楽勝のはずだしな。

「3人で行くのか?」

「そうパーティー組んだの!」

「へぇ。男は入れなかったのか?」

「うん、よく集まる3人でね」

 ならバトルメイジ、大魔術師、聖女でたぶんいけるな。

「一応気をつけてな!」

「はーい」

 2人で来たいんじゃなくて指導してもらいたかっただけみたいだな! 

 まだ、友達と遊んでる方が楽しい時期だしな。


 上級ダンジョンを、軽くこなしていくシアはバトルメイジにはピッタリだな。

「バトルメイジあってるみたいで良かったよ」

「ほんと?嬉しい!」

「うん、前衛も無理はないようだし中級ダンジョンなら3人でいけるだろ」

「よしっ!」 

 ガッツポーズをキメるシアは可愛いなぁ!

 50階層の、ボスを倒して今日の探索は終了。ドロップは魔石とマジックポーチ。宝箱からは五百万円と魔導書か。土魔法の魔導書だったな。

 シアは初めてらしいから魔石を売りに行ってみる!俺も初めてだが!

「はじめてでございますか?」

「はい!」

「冒険者証を」

「はい!」

「では魔石をこの中に入れてください」

 ゴロゴロと半分くらいから、女の人の顔色が悪くなり、

「ちょっと待ってください」

 代わりの人が出てきて別室に。

「ここの担当の小島と申します。よろしくお願いします」

「はい!」

「これはシアさんが全部取られたものであることは間違い無いですね?」

「そうですけど?」

「では、はっきりいわせてもらいますが。嘘はいけません。これだけの量を1人でなんて何か犯罪を」

「皇隼人だ。この人に連絡を」

 ここは俺が出ることにする。

「は、はい」

 受付の人もタジタジだ。


 待っていると、

「、だ、だ、大変ご迷惑をおかけいたします。ここの担当の若林と申します!うちのものが大変ご無礼を!」

「ほ、ほ、ほ、ほんとうに申し訳ありませんでした」

 ガタガタ震えている。

 だしたのは校長の名刺だ。

「名刺を返してくれないか?」

「は、はい!」

「魔石は買い取らせていただいてもよろしいですか?」

「どうする?シア」

「いいよー」

「はい!それでは計算に移らせていただきます」


 バタバタとしているが、そんなに持ってくる量が多かったか?

「しめて2億3千円になりますがキャッシュが用意できなかったのでカードに入れてもよろしいでしょうか?

「いいよー」

「は、はい、ありがとうございます!本日は本当に申し訳ありませんでした」

「いえ、分かってくれればいいですよ」

「は、はい」

「ありがとうございました!!」


「良かったなシア」

「うん、ありがとう隼人」

 車で帰ると2人が待っていた。

「バトルメイジオッケーだって」

「「やったー」」

 3人でキャイキャイ嬉しがっている姿は見ていて俺も嬉しかった。

「ねぇ、お土産は?」

「あ、忘れた」

「あーしが思うにどーせアイテムボックスに色々入ってるでしょ」

「ばれてるのか?」

 しょうがないからバームクーヘンを渡すと3人で台所にいってしまった。

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