第50話 コンと魔石エネルギー


 九尾の狐はコンと名付けられた。

『ワシはコンじゃぞ!どけどけ!』

 いまは上級ダンジョンにきている。

 コンが先に行くからモンスターを倒す手間が省けるが、なかなか言うことを聞かない。

「コン?やり過ぎるなよ?俺も経験値が入るけどさ」

『ならいいではないか?ワシはもっと暴れたいんじゃ』

 あと途中でオヤツタイムが加わる。

『3時になったぞ!おやつの時間じゃな!』

「はいはい、どうぞ」

 2本足で持って食べる姿は可愛いと思うが、なかなかどうして進まない。方向音痴なのだ。

「そっちじゃない!こっちだコン!」

『早く言うのじゃ!』

 いやさっきそっちいったし。

 50階層にやっと着いてみれば、扉を開かれた瞬間に炎を吐き出して炭にしてしまう。

 ドロップを拾うだけだな。

 ドロップは魔石とマジックバックの二つで、宝箱は500万円とスキルオーブランダムだった。

 

『さて帰るぞ!』

「まて、とりあえず話し合おうじゃないか」

『なんじゃ?』

「俺と一緒にダンジョン攻略するのはいいが、早すぎるぞ」

『早いに越したことはないぞ!』

「もうちょっと見ながら進むべきだと俺は思うんだが」

『罠は踏んでないし問題あるか?』

「ない、あとは方向音痴をなおせ」

『ワシは方向音痴ではない!』

「…分かった。もういいぞ」

『よし出よう』

 外に出たら車に飛び乗るとシートベルトをつける。

『危ないからのぉ』

「さいですか」

 校長の話では危ないダンジョンは大体無くしたそうだ。だが魔石エネルギーという資源を、無くさないために管理が必要とのことだ。 

 だから冒険者から魔石をいまあるギルドで買い取るらしい。魔石を、集めてなかった人は御愁傷様だな。

「私捨てちゃってたよー!と言うわけで魔石ちょうだい」

「やだねー」

学校で千聖が言ってきた。って魔石捨ててたのかよ。勿体無い。

「いっぱい持ってるでしょ?」

「だがやらん」

 こいつはほんとに痛い目みないとわかんないやつだからな。

「そ、そんなー、少しだけでも」

「自分で稼いでこいや」

「じゃあカンパしてよ」

「だからやらんって!自分がしたことのけじめはつけましょう」

「あー。あの時のあたしなバカ」

「いまもな」

「私に対して当たりが強くない?」

「お前は一回中級に行くバカをやってるからな」

「それは反省したじゃん」

「いまだって俺なら上級くらいの、魔石を持ってると思っていってる」

「ギクッ」

「お前の考えそうなことだ」

「うえーん。隼人が虐める」

「あれだけ大声で話してれば可哀想と思う奴もいないな」

「おとなしく初級で頑張ってこい」

「うー、そうするしかないか」

次の日には、

「みんな十万とか稼いでるんだよ」

「そうみたいだな」

「かわいそうだとは?」

「全く思わんな。自業自得」

「うわー!悔しいー!」

 ほんとにうるさい。

「先生いまから初級ダンジョン行ってきていいですか?」

「ダメに決まってるでしょ」

 鬼塚にまでいっている。そこまでかよ。

 俺は換金にはいかない。

 いったら大騒ぎになるのが目に見えてるからな。

 校長が欲しがってたらあるかもしれないが。

「皇!魔石を出せ!」

「は?」

「私が売ってきてやる」

「校長にいいますよ?」

「チッ」

 鬼塚も一緒かよ。


「皇君はいくらになったの?」

「俺は売ってないぞ?」

「そうだよね。売らなくてもお金あるもんね」

 クラスメイトが寄ってくる。

「1番おっきな魔石見せてくんない?」

「ほれ」

「でかっ!」

「おっきーい!」

 すぐにアイテムボックスにしまう。

「どこで取ったやつ?」

「特級ダンジョンだぞ?」

「げ。無理ゲーじゃん」

「ちゃんとしてないと千聖みたいになるぞ?」

「呼んだ?」

「呼んでない」

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