第49話 違和感の正体
最近は違和感がある。
ピリッとくることが多くなってきている。
冬だからだろうか?
『さぁなんじゃろうな?』
「魔人と会った時のものに似ているが」
『それはないじゃろ、匂いもせんしな』
「そうか。ただの勘違いであればいいのだけどさ」
『さぁ、それより今日は勝たせてもらうぞ』
「ふざけんなって。いつも惨敗だろ?」
ドロップ品は魔石とふさふさな毛のマジックバックだ。陽菜とか好きそうだな。
宝箱には一千万円とスキルオーブランダムが入っていた。
転移陣から外に出たらやたら寒くてマフラーを巻くと足早に駅に向かうが、また、ピリッとくる?原因が分からないと不安になってしまう。
家に入っても、風呂に浸かっててもたまにピリッとくる
そしてそれは突然やってきた!
アイテムボックスの整理をしていた時だった、召喚陣があらわれて赤い狐のモフモフがそこにはいた。
「お前。九尾の狐か?」
『わしの名前をつけるが良い!』
「なんで、出てきたんだ?」
「少しづつお前に力をら与えていたからな」
「だから最近ピリッとしていたのは、お前のせいかよ!」
『そうじゃ召喚士ならわしを召喚できるはずと思ってな』
「ふざけるな。あの巨体が出てきたら困るだろ」
『この体なら平気じゃろ』
この狐が!
「なんで勝手にそんなことしてんだよ!」
『ワシだって外の美味いもの食いたかったんじゃもん』
人間食ってた奴がよく言うよ!
「人間はもう食わないんだな?」
『あんな不味いもんいまさら食えんワイ』
「ならいいが首輪を着けるぞ?」
『なんでじゃ?』
「これは危害を加えません、飼ってますってことだな」
『なっ!そんなことわしにさせるつもりか!』
「んじゃ大人しく帰りなさい」
『くぅーー、いいじゃろ!可愛いのにしろ』
「はいはい」
九尾の狐が家に加わった、正直に話したら(話など聞いていなかったが)飼っていいことになっていた。まさかの逆召喚が出来るとは九尾の狐らしいな。
「しっぽは一本なんだな」
『一本で十分じゃろ』
「あとは勝手にぶらつくなよ」
『分かっとるワイ、召喚士から一定の距離離れたら帰還させられるからの』
「そうなのか」
『ふんそんなこともしらんかったのか』
「これはお預けにするぞ!」
『やめろ!噛むぞ』
「ふざけんなよ、誰が買ってきたと思ってんだ」
『やたらと儲けたのはダレじゃ』
「やっぱりなんか企んでると思ったわ」
『世の中金じゃ』
「この守銭奴が」
『その大福をよこせ』
小さい赤い狐とやり合う俺は側から見たら滑稽だろうな。
『ほう風呂とな』
「毎日はいらないと臭いからな」
『ワシは臭くないぞ』
「そのうち臭くなるんだよ」
『なっ!しつれいじゃな!』
強引に風呂に連れていく。
『極楽じゃのぉ』
「風呂に入る狐なんて初めて見たぞ」
『これが毎日の日課なんじゃな』
「そうだ」
『ならよし』
俺の腹の上で仰向けで風呂に浸かる狐は極楽と言いながら目を細める。
はぁ、まあまだ、人を食わないだけマシか。
『うーむ、これとあれとそれじゃな』
「苺大福と豆大福とどら焼きをあるだけください」
『むふん!』
「洋菓子は食べんのか?」
『なんじゃそれは?』
「知らんかったらいい」
『洋菓子を買いに行くぞ!』
「まだ会計中だ」
トテトテと歩く姿は皆の視線を釘付けにする。
『がるる!ワシは見せもんじゃないぞ』
「無視しろ無視」
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