第44話 因果応報


 こんなことがあったと校長に話をしておく。

「大丈夫じゃったのか?殺してないんじゃな!」

「殺すわけないでしょ?盗賊じゃあるまいし」

「…殺したことはあるんじゃな」

「ありますよ?どこから帰ってきたと思ってるんですか?」

「そうじゃったの、ワシが悪かったわ」

「いいですよ、もう過ぎたことですしね」

 褒められるべきじゃないが殺さなければ殺されていたのだからしょうがない。

「他の奴らは殺してないと思いますよ?シアは一緒だったんであれですけどね」

「そうか、辛かったのぉ」

「そこまででもないですよ。殺さなきゃ殺されるんですから」

「そうか」

 こっちと比べて命の価値が低いからな。かと言ってこちらの価値で比べてもしょうがないけどね。

「んじゃ授業にいってきます」

「おお、頑張れよ」



  ♦︎



「おう、お前たちも良い加減にしろよ?強さも見に沁みて分かっただろ?」

『そんな事は承知の上だ』

「後一つ、あいつは人を殺しておる。それも罪悪感なしでじゃ」

『なっ!そんな』

「これでわかったろ?あいつは飼い慣らせない。お前たちでなんとかするんじゃな」

 電話を切ると一服する。

「ふぅー、彼奴はまだ高校生じゃぞ、そんな子に何を期待してるのやら」



  ♦︎



「佐々木」

「あ、隼人くん」

「何やってんの?」

「これこれ、学が3年に連れられていったの」

「で、この騒ぎは?」

「三年がボコボコになってるの」

 俺は走ってエリアヒールをかけた。

 良かった。死んでない。

「隼人君…僕手加減できなくて」

「馬鹿野郎!俺を呼べ!死んでなきゃ治せるから!」

「うん…うん」

「佐々木も、な!」

「うん」

 三年は逃げていった。


 放課後に連絡があっていったらなんとか耐えてる佐々木と学がいた。

「おーい、きたからやって良いぞ?」

「痛いもんは痛いんだからな」

「このやろう」

 ボコボコになってく三年生は助けを求めているのでエリアヒールをかけると逃げていった。

「よく我慢したな」

「うん、本気でやったら怖いからね」

「佐々木もな」

「けっこう痛いんだよ?あれ」

 金属バットまで持ち出したのかよ。

「そりゃいたいだろうなぁ」

「なんで僕らだけ」

「しょうがないよ、地味だもん」

「「「あははは」」」

 それぞれ車に乗って帰る。

「なんで殺せば良かったのに」

「シア、この世界じゃ殺しちゃダメなんだよ!」

「え?殺されかけても?」

「いちおう手加減してくれるか?」

「そうなんだね」

「あぁ、あっちとは違う世界だからな」

「わかった!」


 異世界との違いは教えていかないといけないな。といっても、これくらいかな?あとは追々教えていけば良いか。


 車が横付けされ、こっちにやってくる。前も後ろも塞がれているな。止まると出て来るわ黒服の似合わない兄さん達が、

「なんのようだ?」

「言葉遣いがなってないなら教えてやらなきゃな」

「シアは待っててね」

「うん」

「へぇ、可愛い彼女じゃねぇか」

「俺よりおっかないけどな」

 俺の数倍でかいやつの腹を殴る。血を吐き出して倒れるのを見て他の奴らもビビる。

「死ぬ覚悟はできてるか?」

「こいつ!よくも!」

“パンパン”と乾いた銃声が響くも掠りもしない。

「獲物を出したのはお前らが先だからな」

 アイテムボックスから刀を取り出すと、

『抜刀一閃』黒塗りの車をオープンカーにして見せる。

「なっ!お前たちもかかれ!」

“パンパン”と銃の音が聞こえるが全部斬ってやった、腕ごと。

「アァァァァだぁ!だぁ!だぁ!」

「喚くなよ腕くらいで、で?起きてんだろ?起きないなら斬るぞ?」

「わ、わかった!」

「なんのためにやった?」

「ボスからの指示でやった」

「名前は?」

「それはいえな」

 耳を押さえて喚いている。『エリアヒール』

「あ、あれ?」

「治してやったからボスの名前は?今度はどこが良い?」

「ぼ、、ボスの名前は秦野康隆ハタノヤスタカです」

「ば、ばか!」

「無理だ!こいつ人を殺したことがある」

「あるけど何か?お前らの首でも送りつけてやろうか?」

「ひ、ひいぃぃ」

「シアは運転できるよな?」

「うん、できるよ」

「じゃあ1人で帰っといて」

「わかったけど」

「俺は大丈夫だから」


 俺は車に乗ってそのボスとやらに会いにいった。

「つ、着きました」

「よっと、おいお前ついてこい!案内しろ!」

「は、はい!」


“コンコン”

「入れ」

「ちわーっす」

「よく来たね皇隼人君」

「貴方が秦野康隆?」

「…」

「ずいぶんとまたヤンチャな真似をしてくれたね」

「どうやら失敗だったようだな」

「そうだね。お前は俺を怒らせたからな」

「特別待遇で出迎えようじゃないか!お金もたくさんはいるし」

「いらね!あんたの首で十分だ」

“スパン”

 秦野康隆の首が飛ぶがキャッチして『蘇生』を使う。

「えっ!」

「今一回死んだぞ?」

「二回目」

“スパン”

 また『蘇生』を使う。

 秦野は自分の首の血を見て、

「や、やめてくれ!」

「は?馬鹿は死んでも治らないらしいぞ?おまえはどうなんだろうな?」

「まっ」

「三回目」

 『蘇生』を使う。

「す、すまなかった!私が悪かった!もう手を出さない!こんな事は二度としない!」

「本当かな?」

「本当だ!約束する!な、なんなら書面でも残す!本当にもう何もしない」

 しょんべんたらしながら土下座で謝って来るのでこの辺にしとくか。

「わかった。俺の周りにも手を出すなよ!」

「は、はい!」

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