第43話 校長やれば出来る


 俺はようやく教室で授業を受けている。

「ねぇねぇ。いろんなとこ行ってきたんでしょ?お土産は?」

「千聖にはないよ」

「うっそだー!くれよ!」

「ほい」

 落花生せんべいだ。

「なんだよ!うまいけど甘いのが良かったな!フワフワしたのが!」

「ほれ」

 よくある土産の一つだ。

「これこれ!こういうのだよ!」

 クラスメイトがワラワラと取って行く。

 鬼塚先生まで取っていった。


 さて遅れを挽回しないとな。

 千聖にどこまで進んだ聞いてそこをこっそり勉強していく。

 まぁ。鬼塚先生もそこまで鬼じゃ無いからな。

「皇、答えろ!」

「は?馬鹿なんですか?俺習って無いですから!」

「けっ!」

 鬼だなこのセンコーは! 

 どこがどうなって俺に答えさせるのかわからない。

 溜まったプリントもあるし、なんだよこれ!ゴミ入れてんじゃねーよ!

 千聖にぶつける。

「いてっ!」

「お前だろ!」

「自分じゃ無いの?」

「俺のはアイテムボックスにいれてあんだよ!」

「くそっ!」

 本当にどうなってんだうちのクラスは。


 家に帰るとお土産を出していく。

 千葉、埼玉、茨城、青森、鳥取、長崎土産だ。

 まぁ、当分はお菓子はいらないだろうな。

「いいなぁ、隼人だけ」

「よくないぞ?氾濫寸前のダンジョンばっかりだったしな」

「やばいじゃん」

「そうやばいところばっかりだったよ」

 本当よく生きて帰ってこれたな。

「大変だったね」

「おう、ありがとう」

「ん?なんで?」

「シアがいるから帰ってこれるんだからな」

「隼人」

「シア」

「ん、ん!ん!ん!んん!」

 父さんがなんか言っている。

「あ、親がいたんだった」

「こっちがはずかしくなるわ!」

 母さんがお土産をもって台所に行く。

「はぁ、まぁ、隼人も無事だったから良かったな!心配してたんだぞ?」

「あはは、ありがとう」

「で?そんなに酷かったのか?」

「そうだね」

 俺は一から話し始めるとみんな顔が青ざめていく。

「んで、」

「待て待てもう良い。凄かったな」

「えぇ。私たちじゃすぐ食べられちゃうわね」

「大丈夫だよ、2人とも俺が守るからさ」

「もう!男らしくなっちゃって!」

 母さんはこう言ってるが、本当に守れるのだろうか?ダンジョンは数が限られてるからまだ大丈夫かもしれないけどな。

 間引きしてたら氾濫は起きないはずだしな。


 次の日の学校では、校長室に呼び出されて報酬が手渡された。一億円だそうだ。

「へえ、ちゃんと出るんですね」

「出すと言ったら出す。国からじゃけどな」

「国からなら少ない気もしますけど」

「ワシもそう思うが、これ以上迷惑かけない様に念を押しておいたからな」

「おっ!やりますね」

「じゃろ?」

 まぁこんなもんだろ?国も一高校生にこれだけやっとけばいいと思ってるだろうしな。

「次来たらこの十倍はふっかけるからな」

「百倍でもいいですよ、舐めてるんですから」

「そうじゃの」

 ふぅ、これですこしは安泰かな。

「校長お電話です」

「もしもし?なに?そうか、じゃが舐めすぎじゃ無いかね?命懸けであれだけ救ったのに一億だけとは?あ?話にならんな?」

「どうしたんですか?」

「おう、氾濫しそうなところがあるから皇を貸せと言ってきおったから言い返したとこじゃ」

「さすが校長!」

「また電話が」

「でらんと言っておけ」

「はい」

 校長も腹を立てていたので、ちょうど良かったな。

 授業は滞りなく終わり帰ろうとすると黒服の連中に取り囲まれた?

「なんですか?」

「皇だな?ちょっと来てもらおうか?」

「ハハっ!これだけの人数で俺を止められるのか?」

「なっ。こちらは話し合いを」

「ならここではなせよ?」

「ある組織に入ってもらいたい」

「断る」

「力尽くでもか?」

「だからこれじゃ足りないって」


 足を折られた黒服はとてもじゃないが勝てないと思ったのか、命乞いをしてきたので『エリアヒール』で治してあげたら逃げていった。

 校長がダメなら力尽くかよ。腐ってんな。

 シアを助手席に乗せて走り出す。

「なんかあった?」

「なーんにも?」

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