第38話 日焼け止めと甘いもの


 俺とは対照的に焼けてない千聖はどこにも行けなかったのか?

「んなわけないじゃん、日焼け止めでしょ!女の子のほとんどがつけてるよ!」

「そうなのか?あぁ、そういえばシアも白かったな」

「日焼けはシミになるからねぇ」

「男だから良いや」

「いまは男でも日焼け止め塗ってるし!」

「まじか!今からじゃ遅いか!」

「日焼けは一日にしてならずですよ!」

 まぁ、日焼けしてるほうが俺は好きだしな。

「まぁ、いいや、千聖コーヒー飲みたい」

「自分で買ってこい!そして私はイチゴ牛乳な!」

「へーい」

 腹減ったから購買でパンでも買ってコーヒーとバナナ牛乳だっけ?を買って帰る。

「ほれ」

「ありが、ちがう!イチゴ牛乳が好きなのに!」


「どっちでもおなじだろ!」

「バナナじゃないんだよ!好きだけど」

「好きならいいだろ?」

「まぁ、いいけどね」

「私にパンは?」

「ないよ?言ってないだろ?」

「気の利かない男だよ!」

 しるか!

 あー。夏休みが恋しいなぁ。


「おら、席につけ」

「みんないるか?」

「はーい!」

「なら問題なかったな」

「へーい」

「皇、校長室な!」

「な!」

 あのハゲ校長の呼び出しだと!

「受けてたとう!」

「はいはい、いってきな」


 俺はテクテクと校長室に向かうと、

「失礼しまーす」

「おう皇くん」

「あのクラス替えはなんですか?いやがらせですよね?」

 たじたじの校長先生は刀を持っている。

「それを叩き折っても構いませんよね」

「ダメじゃ!こいつはだめなんじゃ!」

「じゃあ三年のときはちゃんとしてくださいね」

「わかった」

 このハゲ校長め!

「それでなんで呼んだんですか?」

「それが特級ダンジョンから声が聞こえてくると言うてお願いがきてるんじゃが」

 あ、夏休み中一回もいってないや。

「甘いものを寄越せといっているそうじゃ」

「気に入ったのかよ」

「分かりました、今からでも良いですか?」

「行ってきてくれ」

 

 しょうかわないから和菓子屋やお土産屋を回って大量に甘いものとハンバーガーを買って二日かけて100階層まで、やってきた!


「おー元気にしてたか?」

『お主がこぬから甘いものがなくてのぉ!』

「そりゃ悪かったよ!こんだけあれば足りるだろう」

『おお!今回は大量じゃな』

「特別にな」

『じゃあわしも本気を出してやろうかのぉ』

「いつも本気だろうが!」


 大きな火の玉を吐き出す九尾の狐。

『バリア』

 火の玉は遮られるが突貫してきた九尾の狐に、バリアが壊されてしまう。

『水遁の術』

『アイギス』

 水遁の術で火を消してアイギスでガードする。

『面白いのぉ』

『暗黒の波動』

 九尾の狐にダメージを与える。

 俺は一歩も動いていない。

『ククッやはり面白い!』

 また突貫かと思いきやキュアに後ろに気配を感じる。

『クリティカルカウンター』

『ゴハッ!』

「だから勝てないって!」

『今のは良かったと思うのじゃがな』

「あぁ。ちょっと焦ったよ」

『ならよしとしよう』

 塵になっていく九尾の狐。

『一月に一回は来い』

「俺も用事があるんだけどなぁ」

 ドロップ品はジョブオーブ。武将。

 宝箱から一千万円とマジックバック。

「割に合わねえやい」


 ジョブを武将に変えて最下層から上へと登って行く。外に出る頃には武将はカンストしていた。

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武将(武の天命 螺旋撃 突風撃 驚天動地 幻影の射法 千射蕃山 一閃 抜刀一閃 無双乱舞)

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「あぁ、つかれたな。甘いものが食べたい」

 和菓子屋を見つけて買い溜めして買い食いしながら学校は戻る。

「終わりましたよー」

「ご苦労さん」

「疲れましたよ」

「まぁ、座りたまえ」

 お茶と大福だ。

「まぁ。良い関係を築いているようじゃの」

「大変だったんですから」

「あはは。それでどうじゃ?」

「ん?なにが?」

「九尾の狐は我らに危害を加えるかのぉ?」

「ないと思いますよ?一月ごとに甘いものを持ってこいなんていうやつですからね」

「そうかそうか」

 この古狸は何を考えている?

「なら放置でいいじゃろ」

「俺が行かないといけないんですけど?」

「まぁそれはそれじゃて」

 大福を一口で食う。

「もっちゃもっちゃ」

「して、頼みたいことが」

「断る!」

「まだ何も言っておらんではないか」

「ろくなことじゃねえだろ?」

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