第29話 狐は雑食なのだ!
冬は寒い、とにかく寒い、ダウンジャケットからスマホを取り出してシアに電話して今からダンジョンに潜るからといって、いつもの鳥居の裏のダンジョンにはいる。
ダンジョンの中は暖かい。ダウンジャケットを脱いでアイテムボックスに入れる。
もし、ダンジョンが寒ければゴブリンなんか凍死するだろうなと、バカなことを考えながらモンスターを狩っていく。
シアが来なかったのはいるだけで何もやってないから家で勉強したいと言われたからな。そりゃ、勉強大事だよな。
赤い九尾の狐に話しかける。
「もう何回目だよ」
『うるさい小蝿がまた来よったわ』
「そろそろ諦めたら?」
『あははは、いつもの戯言か?』
「大人しくするってんならこのダンジョン消さないからさ」
『それは無理な話だ。人間を食うなと言うのだろう?』
「そう、今回はハンバーガーとか持ってきたから食ってみなよ」
『そんなもの食えるわけがなかろうが!』
「いつも復活してから食べてんじゃんかよ」
『そ、そんなこたは無いぞ』
「分かってんだからね!もう悪いことしなかって誓うならたまに差し入れにくるからさ」
『なぜこだわるんだ?』
「人が封印したなら人が助けてやれるかもしれないだろ?」
『あははは、そんなことができるわけなかろうて』
「あっそ!ここに置いとくからね」
『では、死合うとするか!』
「今回は特別に氷属性の刀だぞ?」
『そんなものでワシは怯まんぞ?』
「もう。素直になれよ!」
『それはない』
『一刀両断』
九尾の狐は綺麗に真っ二つになって、塵になって消える。
ドロップは刀と魔術書。宝箱には一千万円とジョブオーブ。今回もダブり。
聖騎士だから高く売れるだろう。
転移陣で外に出るとダウンジャケットを羽織る。
「ふぁ。ねむい」
あそこまで行くのに寝ずに二日かかるからな。
番号入力して、金を払うとガタンとストッパーが下がる。車に乗って家に帰るとシアが迎えに来てくれる。
「お帰りなさい」
「ただいま」
最近は、ハグしてくれる。
「疲れたぁ、やっぱり無理だわ」
「そうなんだね」
でも、もう少しの気もしないでもない。
「もうちょい頑張ってみるわ」
「うん!お風呂沸いてるよ」
「うっす、ありがと」
風呂に入ってサッパリした。
部屋に戻るとシアがいて隣に座るとハグをして来た。
「どうしたの?」
「ん?抱きつきたかったから」
「そうか」
「そうよ」
「覚えてるなぁ。初めてあった時のこと」
「あ、アレは思い出さないでよ」
「ポイズンスラ…」
キスで口を塞がれる。
「もう!やめてってば」
「女の子らしくなったし」
「そう?あの時だって女の子だったんだよ?」
「野宿してたのに?」
「そうよ、怖かったんだから!だから助けてくれた時に嬉しかった」
「あはは、あの時は仕方なくだよ、女の子に野宿させるわけにはいかないからね」
「しかたなく泊めてくれるハヤトが、優しかった」
「いっぱい旅したね」
「したねぇ」
「これからは旅行だね」
「旅行?旅と違うの?」
「まぁ、同じかなぁ?」
「なぁんだ」
「「あははは」」
次の日は学校だ。
「ねぇ、どこまでダンジョン潜ってるの?」
「ひみつー」
「けちー!私はまだ初級ダンジョンなのにぃー」
「ダンジョンではちゃんとレベルあげてから先に進みなよ?」
「わかってるわよ!授業でも散々言われてるからね」
千聖と喋ってるとみんなが聞き耳を立てているのがわかる。
「聞きたいことがあったら聞いてくれよ?答えられることなら答えるから」
俺はみんなに声をかける。
「んじゃ、俺が聞いていいか?」
男の子が出てきた。
「どうぞ」
「レベル幾つだよ?」
「それは聞かないほうがいい、冒険者にとってレベルやスキルは聞いちゃダメだ」
「そっか」
「わたしも!」
「どうぞ?」
「俺の嫁ってどう言うこと?」
「3組のシアは結婚を前提に付き合ってる感じかな」
「「「おおー」」」
「後俺からまた一ついいか?」
「いいよ」
「武器は何使ってるんだ?」
「主に剣だよ、たまに杖なんかも使うけどね」
「見せてくれないか?」
「いいよ」
俺はアイテムボックスから刀を取り出し渡す。
「おおー、すげえなこれ、抜いていい?」
「いいよ」
「うおぉぉぉおぉぉぉ!」
刀を鞘にしまうと、
「ありがとう!参考にドロップ品?」
「そうだよ」
「やっぱりか!いい剣だもんな!」
ドヤ顔をしてみる俺!
「ちょうだい!」
「やだ」
千聖がどさくさに紛れて何か言っている。
「なんかちょうだいよ!」
「んー、初級ならこれで十分だろ」
剣を一本渡す。鋼鉄の剣++だ。
「おお!ほんとにくれた!」
「いらないなら返せ」
「ありがとー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます