第26話 特別授業


 冒険者学校の特別授業。

「はっ!やっ!」

「………」

「せやっ!ちゃんとやってよ!」

「んー、重心が右寄りなのはなんでだ?」

「え?そうなの?」

「あと目で追いすぎだから」

「はい!」

 あくびが出るほどにひまだ。

「皇!私と組み手しようか?」

「先生と?」

「シッ!」

「狙いすぎー!」

「チッ!せやぁ!」

「てか声無しで出来ないの?」

「チッ!わかったよ、お前の実力が」

「そりゃよござんした」

「フッ!」

「ザーンネン」

 俺には一切掠りもしない。だって弱いんだもん。

「…覚えておけよ」

「おー。怖っ!」

 ちょっと煽りすぎたかな?

 まぁ、別にいいか。


「皇、答えてみろ?」

「わかりましぇん!だってそれ東大用の問題でしょうが!子供か!」

 このセンコーは何を考えてるんだ?

 大体授業をすっ飛ばして何書いてるのかと思ったら東大用の問題集もってるんだから。

「わからないならいい。フッ」

「こんなんで勝ち誇られてもねぇ?」

 普通に授業進めろよ。



「隼人」

「シア、お昼ご飯いっしょに食うか?」

「うん」

「あの魔導書2つはなんだったんだ?」

「雷魔法と付与魔法だったわよ」

「そっか、なら俺にも貸してね」

「うん、一人でクラス違うのは大丈夫?」

「おう、知り合いもできたし大丈夫だよ?シアこそ月見が一緒だから大丈夫だと思うけど」

「うん、幼馴染なんでしょ?色々と聞いてるよ」

「なぬ!変なこと話してないよな?」

「あははは、変なことしたの?」

「別にしてないけどさ」

「大丈夫よ。かっこいいことしかしらないから」

「それはそれで問題があるというか」

「「あははは」」


「じゃあ頑張ってね」

「シアもね」


「ねぇ、アレが噂の嫁?」

「おう、俺の嫁のシア」

「まさか3組の美少女が嫁なんて」

「お、噂になってんのか?」

「もう噂も噂よ、3組に美少女二人いるって」

「ってことはもう一人は月見か」

「あぁ、特殊科が二人とも3組にいったんだね」

「おお、後1組に二人と2組に二人いるぞ」

「あぁ、わかった、1組は存在感薄くて2組は派手な子でしょ?」

「よくわかったな!さすが千聖!」

「で5組に怖いのが1人」

 あれ5組に怖いのが1人って、

「俺って怖がられてるの?」

「あんだけ先生煽ったら怖がられるでしょうが!」

「いや、あれは先生が大人気ないんだ」

「はぁ、なんで隼人がこっちにきたかなぁ」

「あれ?俺嫌われてる?泣くぞコラ!」

「泣け!喚け!できるもんならね!」

「くっそー!」

 千聖が酷いなぁ。せっかく可愛いのに口が悪い。


 学校帰りに車に乗り込むとシアも乗り込んでくる。ふたりでいつもかえっているからだけど。

「なんでついてくんだよ!」

「シアちゃん!私、千聖っていうのお友達になってね」

「はい!よろしくお願いします」

「お願いしちゃったよ」

「送ってけばいいのか?」

「よろしくぅー!」

「ナビしろよ!」

「はーい!」

 千聖とシアはずっと話していた。

 途中途中ナビしてくれるが。ほとんどおれのバカにした話だ!

「テメェ千聖覚えとけよ」

「へへ、忘れたわよ」

「ここらへんでいいわよ」

「遠くまでこさせやがって」

「じゃ!また明日学校でねー!」

 シアは笑いながら手を振っていた。

「面白い子だね」

「最初は猫被ってやがった」

「あはは、先生とのバトル見たかったな」

「あれはおれは悪くないぞ?」

 帰り道はやけに話が弾んだ。

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