第17話 それぞれの成長


 佐々木と針衣は日増しに傷が増えていく。が、痛々しさはない。顔が晴れ晴れしているからだろうか?

「皇、校長室まで来いよ」

「は?はい」

 先生についていくと校長が待っていた。

「シアくんの戸籍はとれたからこれからは日本人として扱っていく。皇君のお父さん達にもう書類は渡しておいたからね」

「あ、ありがとうございます」

「それと、6人は仲良くやっているのかな?」

 やっぱり気になるんだろうな。

「佐々木と針衣は冒険者として強くなりたいみたいで倉木と矢作と如月で一緒にダンジョンに潜っているそうです」

「君は潜らないのか?」

「シアが免許を取れ次第潜ると思います」

「そうか。冒険者は危険な仕事だよ。まぁ、異世界ではそれ以上だと思うが」

「そうですね。ここのダンジョンだと初級から中級ってところでしょうか」

「なっ!まだ、上があるのか?」

「僕達がいたところは特級までありました」

「なんてことだ、これは早急に連絡しないとな」

「他にはなにかあるか?」

「こちらにはジョブ…職業はあるんですか?」

「あるな、ダンジョンに入ると勝手に決まる」

「佐々木は勇者で針衣は賢者です。ふたりとも強くなれる素質があります。性格が優しすぎるからあちらではまったくレベルが上がってませんでしたけど」

「そうか。職業でも向き不向きがあるのは分かっていたが…ありがとう、参考になったよ」

「はい、失礼します」


 遅れて教室に入るとみんなが見るがシアのことを指さすとホッとした顔をした。

「シアはようやく日本人になったな」

「やったぁ!これでダンジョンもいけるね」

「免許とってからな」

「頑張る!」

「よかったねシアちゃん」

「おめでとう」

「フフッありがとう」

 

 家に帰るとパーティーだった。

 シアの日本人になるための書類関係は全部だしてきたらしいから、これでどこからみても日本人ってわけじゃないけど、日本人だ。

 健康保険証などはまだ届いてないが、そのうち届くだろう。

 父さん母さんは大喜びだった。

 まぁ、あとは結婚するだけだしな。高校を卒業したらプロポーズするつもりだけど、それまで待ってくれるかな?


 とにかくめでたいの一言で、その日は父さんは酒を飲み過ぎて怒られていた。


 次の日の夕方にさっそく試験を受けてちゃんと免許を取ったシアは嬉し過ぎて泣いていた。これでお父さんお母さんに恩返しできると言って。

 そんなこと考えなくてもいいのにな。

 まあ、父さんに金を渡した俺が言うことじゃないかもしれないけどな。


 さっそく潜るかと聞いたが、明日からでいいと家に帰って免許を見せればまた喜んでる親達。まぁ、俺たちが強いってことはいってあるから心配はそんなにしてないんだろうけどね。


 次の日は放課後からサッサと支度をしてダンジョンに潜る。久しぶりだからと言ってゴブリンを難なく狩っていくが、最後には30階層のボス、ゴーレムを倒してドロップはミスリルのインゴットに宝箱からは現金が100万とスキルオーブの鑑定がはいっていた。こっちのお金になるんだなと思ったが、金貨が入っていたらそれはそれで大騒ぎだろうな。


 スキルオーブはシアが使って、残りの素材を換金したら十万超えたから、百万円を親に渡すと貯金しておきなさいと言われた。


 これくらいならすぐ稼げるのにと思いながら貯金を始める。将来のためだな。


 佐々木と針衣はちょっとだけ強くなってきたのか傷も減り、ふたりでいつもどうやって効率よくレベルを上げるかを考えている様だった。


 健介と陽菜、月見は先に進んでいるようでもうすぐ30階層らしい。


 俺たちはちょっと遠くのダンジョンに行って50階層を攻略した。上級ダンジョンだなぁ。ボスはリッチだったので聖騎士のホーリーブレードで一撃だった。ドロップは杖と魔石、宝箱には現金とスキルオーブの闇魔法。

 もちろんシアが使ったが俺のスキルは多いから後回しだ。

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