第16話 みんなの思い


 佐々木と針衣は諦めたようで健介達のとこに行っている。楽にレベルあげようなんて都合が良すぎるんだよ。

 俺だって血反吐吐いて頑張ったんだから、お前達も自分でなんとかしろ。


 佐々木に話をしているが途中から健介が怒り出した。

「それじゃ、意味ないだろ?」

「だって僕達弱いし」

「だから隼人の言ってた通りにレベル上げしろよ!レベリングなんかしたって死ぬぞ?」


 健介も同じ考えらしい。

 あきれてる陽菜が、

「そんなに言うなら金取るよ?」

「え!」

「だから金だよ金、お金」

 指を輪っかにして言っている。

「だって僕達一緒に」

「それとこれとは別でしょ?一緒に召喚されたけど努力が足りなかっただけじゃん!」

「う…」

 佐々木は図星を突かれて怯んでいる。

「それはそうかも」

「でしょ?だからついてってやるから自分達で、レベル上げしなよ」

「ついてきてくれるの?」

 なんだかんだで優しいな。

「はぁ、これでいいでしょ?」

「うん!ありがとう」

「私もいいかな?」

 月見が言ってくる。

「月見はそれなりに戦えるじゃん」

「私ももっと強くなりたいんだ」

「わかったよ」

 月見も加わってあの時のメンバーのままだな。

「隼人もくるか?」

「いかね」

「あっそ!」

 そんな見てるだけじゃつまんないだろ。


 

 次の日には傷だらけの佐々木と針衣が学校に来ていた?あれ?月見が一緒じゃないのかよ!

「隼人。気にすんなよ、あいつらが自分で死ぬくらいの怪我以外は残しておいてくれってさ」

「へぇ。ちゃんとやる気だしてんじゃん」

「な、あっちの時に出してくれればな」

「それな」

 健介と笑い合う。


「特級ダンジョンってどれくらいよ?」

「中級の倍以上だな。死ぬぞまじで」

「マジかよ」

「あんときは必死だったからな」

「そうか。あんときは止められなくて悪かったな」

 王城の時か、

「いや、それはもういいんだ」

「可愛い嫁さんだもんな」

「うるせ」

 健介とこんなに笑い合って喋るなんて思っても見なかったな。


「隼人くん!僕達がんばるから!」

「そうだな、何年かかるかな?」

「い、意地悪だなぁ」

「「あははは」」

 佐々木と針衣もそのうち逞しくなるんだろうな。

「隼人」

「なんだ?月見」

「私追いつくから!そしたらまた私を見て」

「いや。俺にはシアがいるから」

「それでも!私頑張るから」

 泣き出してしまった。

「…わかったよ」

 なんなんだ?王城のことなら気にしてないのにな。



  ♦︎



 私は隼人と無事帰れると信じて頑張ってきた。…つもりだった。でも、隼人はわたしなんかよりもっと過酷で辛い思いをしてきて私達を救ってくれた。なんで私は弱いんだろ。

 あんなに頑張っていたと思ってたことに腹が立つ。もっともっと頑張ればよかったんだ。そしたら隼人を取られることもなかったのに。


 一から頑張ろう。そして隼人に認めてもらえるような私になろう。


 いつか胸を張って好きですって言えるように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る