第12話 召喚陣と転送


 あいつら王城にいるのか?

 それとももうダンジョン…では会わなかったしな。

 王都に帰るか。


 俺とシアは王都行きの馬車に乗りテンプレにも合わず王都に帰ってきた。

「久しぶりだな」

「そうですね」

 王城に行くかと気合いを入れて動き出そうとしたら、

「あっ!」

「えっ!」

「ハヤト!」

 月見が抱きついてきた。

「月見にみんな久しぶりだな」

「おう!げんきにやってたか?」

「あーし達は中級ダンジョンを攻略してきたところ!」

「は?まだそんなとこなのか?」

「え?」

「俺たちは特級ダンジョンを攻略してきたぞ」

「「「「「ええー!!」」」」」

「まじかよ」

「マジっぽいよ」

 陽菜と健介は強さがわかるようだな。

「それよりすこし話があるんだが」

 宿屋の一階で今までの話をする。

「マジかよ!あのクソ豚!」

「あーし、マジ嫌いだったし」

「僕達帰れるんですね」

「よかった」

 みんなそれぞれだが、まずは王城の召喚陣を破壊しないとな。


「おぉ、探しておったぞ!良かった」

「それで召喚陣を調べたいんですが」

「いいだろう、連れて行きなさい」

 何も知らない王様はハヤトが見つかったことで気が大きくなっていた。召喚陣は秘匿中の秘匿で人に見せるものではない。

「ここですじゃ」

「これが召喚陣!」

 意外にも小さかった。だから6人しか召喚できなかったのかもな。

『エクスプロージョン』

“ドッカーン”

 まだ微かに残ってるな。

「な、なにを」

『エクスプロージョン』

“ドッカーン”

「や、やめて下さい!」

 泣いている宰相だが、召喚陣は消えてなくなっている。

「よし!それじゃあ魔王のいるところまで行こう!」

「「「「「おう」」」」」

 シアと合流して魔王のいる帝都に向かう馬車に乗り込む。

「おまえスゲェな!」

「まーな!」

「どれだけつよくなってんのよ!」

「特級ダンジョンが攻略できるくらいにはな!」

 馬車の中では大騒ぎだ。でもシアだけは少し元気が無い。

「シアはこれだけつよくなったんだから一人でも大丈夫だよ!」

「うん、ありがとう」

「こっちこそありがとう、こんな俺についてきてくれて」

 シアは泣き出してしまった。

「で、でも、帰らないとね」

「そうだな」

「うん」

 前の方では馬車が初めてなのではしゃいでる5人。そのうち尻が痛くなるのに。


 帝都まで一ヶ月、国境では指名手配されていたが力尽くで通った。


 ようやく帝都が見えてきた立派な城壁に感動すら覚える。

 帝都に着くと、

「またな坊主!頑張れよ!」

「うん、帰りも気をつけて」

 馬車はそのまま帝都で王都に向かう人を乗せて走り出した。

「尻が…」

「裂けそうだ」

『ヒール』

「あ、よくなった」

「月見!あーしにもかけてよ」

『ヒール』

「ふう、あの痛みは忘れない!」

「もう馬車は懲り懲りだ」

 尻をさすりながらみんなで帝都の街の中に入る。せっかくなので一泊したいと宿を取る。

 みんなで買い物に出かけ、なぜか足りない分は俺が出した。王様からは一月に金貨5枚しかもらえなかったらしい。

 色々と買ったが全部俺はアイテムボックスにいれてある。

 みんなはマジックバックを支給されたらしくそれに入れていく。

 シアには綺麗な耳飾りを買ってプレゼントした。


 夜中に誰か入ってくる音がしてびっくりしたがシアだった。一緒に眠ってくれと頼まれて初めて女の子と一緒に寝たのは。

「初めてだった。あんなに素敵な冒険」

「そうだね」

「ハヤトが、好き」

「俺もだよ」

 二人抱き合って眠った。

 帝都の王城について説明する。ネックレスを渡して確認してもらう。

「魔王様が会うそうだ」

「やったー!」

「よかった」


 謁見の間で魔王と会うと、どこか優しそうな人だった。

「ネックレスをエンシェントドラゴンにもらったのだね」

「はい!俺たちは紹介された6人です。エンシェントドラゴンに聞いたら魔王様なら送り返せるかもと」

「たしかに、送り返してあげよう。一人は違うみたいだが?」

「一緒に旅をしてきた仲間です」

「わ、わたしも送ってもらえないでしょうか?」

 シアは魔王に話すと、俺の腕を取った。

「そう言うことか、1人くらいなら大丈夫だよ」

「シア。本当にいいのか?」

「うん。ハヤトと離れるのは嫌」

 シアは絶対ついていくと決めたみたいだ。

「よろしくお願いします」


「では、いまから地球という星に送る。時間は今まで生きた時間だから、戻すことはできない。場所を思い浮かべるがいい」

「自分たちが召喚された時の場所にしよう」

「教室ね」

「特定できた。それではさらばだ」

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