召喚後のテンプレで追い出されましたがジョブのおかげでなんとかやっていけてます。

第10話 勇者組と王国の狙い

　聖者の行進を思い出して鼻歌混じりでモンスターを倒して行く。

「なんですか？その音楽？」

「べっつにー、気にしないで」

　ノリノリでモンスターを斬り倒す。

　この階層もらくになってきたもんだな！

「うー！なんか気になるぅ！」

「ただの鼻歌だよ」

　殺伐としたこの世界でこの音楽はないだろう。

　聖者といえば月見は元気かなぁ？

　　♦︎

「中級も楽勝じゃね？」

「あーしらつえぇから！」

　聖騎士と大魔導師に負けてる勇者。

「凄いですね！」

「僕もそのくらいになりたいです！」

「いや、賢者と勇者が何言ってんのよ」

　陽菜と健介はいいとして小太郎と学はダメだ。才能のかけらもない。神様なんか間違えてませんか？

「あーし、怪我しちゃった」

「擦り傷ですね」

「なおしてよー、月見ちゃん」

「ヒール」

「ありがと！」

　はぁ、せめて私が賢者だったら。

　中級でこれなら上級はもっと大変だろう。

「おっし！上級いくぞ！」

「まだはやいでしょ？」

「大丈夫だって！あーし達がついてるし！」

「頑張ろう学君」

「うん小太郎君！」

　小太郎と学はなぜか自信をつけている。

「だめ！ダメダメダメ！せめてレベル100にしてからいくわよ！」

「だからレベル上げに行くんじゃない？」

「そうそう、強いモンスター倒してレベル上げるの基本っしょ！」

「僕達ならできるよ！」

「そうだよ！」

「もういい、どうなっても知らないからね！」

「そんな怒んなよー！」

「行ってみてから考えようよ」

「…わかった」

　まともなのが私しかいないのは気のせいなのか？

　上級ダンジョン。

「よっしゃ！バリバリたおすぜ！」

　剣も鋼鉄の剣に変えてもらったし大丈夫だと思うけど、

　ホブゴブリン！？一層なのに？

「オラァ！まだまだ！」

「えぇい！」

「ファイヤーボール」

「あーしがフレイムランス」

「あーぁ。調子乗っちゃってるわ」

　佐々木は逃げながら剣を振ってるし、学はなんでファイヤーボールなのよ？まともなのは陽菜と健介だけね。これで魔王倒せると思ってるのかしら？

「気張れよ佐々木ぃー！」

「はいー！」

「学！いま！」

「ファイヤーボール！」

　なんとか倒せた感じね。

「この調子でいくぞ！」

「「「おう」」」

「はぁ」

　ハヤト帰ってきて。

　　♦︎

「うおっ！」

「きゃっ！」

　ブルーミノタウロスだ。

『挑発』『ホーリーブレード！』

『ウインドストーム』

『グオオォォォォォオ』

「ちっ！『終撃』」

『グオッ』

　トドメを刺したのは忍者の終撃だった。

　レアモンスターは強いからあまり当たりたくないな。まぁ、金にはなるけどな。

　ドロップはツノと皮と魔石だ。

　アイテムボックスに入れ込んでまた、レベル上げに向かう。

　なにげにスキルの数が多すぎて使わないのも出てきてるんだよな？それだけ選択肢がふえるのはいいことだけどな。　　

　70階層も突破しレベル上げの真っ最中である。なかなか歯応えのある戦いになってきている。100階層はなにがあるの？ほんのちょっとおびえながらここらでのんびりレベル上げをしていたい。

「ここもかなりやりやすくなりましたね」

「そうだね、でももうすこしここでレベルを上げていこう」

「はい！」

　うっ、シアの笑顔に心が痛くなる。

　でもほんのちょっとのんびりしたってバチは当たらないだろ？ここまできたんだし。

　日本ではどうなってるんだろ？

　消えた6人の男女？！高校生が忽然と姿を消した？なんて書かれているのかな？

　聖者の行進もあとすこしでレベル99にございます。残すところ二つ。

　あーやだやだ、賢者と勇者なんて世界に一人でいいじゃん、事足りるでしょ？

「どうかしましたか？」

「いやかんがえごとしてたたわけなんだけど、魔王っているの？」

「いますよ？」

「どんな人？」

「若くして王になったらしいです。人民にも好かれていてよくできた王様だと」

「は？」

「へ？」

「あの王様の髪の毛全部むしり取ってやろうか！」

「何かありましたか？」

「何かあったどころじゃないんだ」

　俺はことの次第を話した。

「え？それじゃあ、ハヤトさんは異世界人？」

「そうなるね」

「で魔王を倒すと」

「そうなるね」

「理解できません」

「そうなるよね」

　だぶん魔王の領地が目的だろ？それでこんな高校生を使うなんて呆れてものも言えない！いや、いいまくりたい！あほかと！己の欲望の為に未来ある俺たちを召喚したのだとしたら、どうしてくれようか！

　とりあえず落ち着いてレベルを上げるのと情報収集していかないとな。帰れる手立ても考えないといけないな。

　シアが心配そうにみている。

「大丈夫、シアが心配することにはならないと思うよ」

「は、はい…帰ってしまうんですか？」

「まぁ、僕らはこの世界の住人じゃないからね」

「一緒に行くことは？」

「ダメだよ、あまりにも世界が違いすぎる」

「はい」

「とりあえずレベル上げしよっか？聖者ももうすぐ頭打ちだから」

　そこからさらに一ヶ月、ついにジョブを全て上げ終え、レベルは870にまで上がってしまった。

「そろそろ下に降りようか。なんなら90階層くらいまでおりようか」

「はい！降りましょう」

　ジョブのおかげでここまで来れたよ。

　最初はやけになって一人でダンジョンをおりたんだっけ。

　それがいまや仲間と二人で特級ダンジョンを下りている。前哨戦ではないが、ダンジョン攻略でもしておこう。

『サンダーブレイク』

『アイシクルカッター』

　レッドドラゴンが姿を現した瞬間二人とも魔法を放っていた。

　倒れて塵になったレッドドラゴンは牙と魔石を残した。