詩 「花束を君に」
@aono-haiji
第1話 詩 「花束を君に」
風が生まれていた
その場所を知っている
命が生まれていた
その場所は知らない
知りたかったけど
今の俺には見えない
人の血を 命を
そんな足音が近づいてくる
一歩 一歩
耳に残る子供たちの泣き声
俺はいま目覚めたのだ
人間として生きていたと
思い込んでいた
今までの時間
あれが夢だったのだろう
そう
やっと 分かった
時間という
それが俺達を
一番効果的な手段だった
そのトリックの中に
俺は生かされていた
何事が起きても
それは過去になる
そのまやかしに
騙されてはならない
今度は俺の足元が点滅する
俺は死んでいる
俺が死んでいるのに
俺がここにいるのは
お前達が仕掛けた
トリックのおかげだ
お前達は俺を捉えられない
お前達は黒い金色の時間軸の中にいる
この星を喰ってしまう
獣がその中にいる
俺は そこにいない
俺は 少女がかかげる 花の中にいる
(それは 少女を守りたい 強い意志だ)
花は届けるためにあるのじゃない
お前達の中にも埋もれている
花の種に呼びかけているのだ
花を咲かせたい思いは
命を包んで守りたい強い意志だ
俺は お前達の時間軸の中にはいない
俺は お前達の 心の隙間に入り込む
花を かかげて
人は 俺を
“BANKSY” と呼ぶ
詩 「花束を君に」 @aono-haiji
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