第348話 武器を手に
「では――汝ら力を示せ!」
合わせて、
単なるシンクエディアなら。
だが、彼には判った。
カウントダウンが進む。
あと50秒。
おもむろに彼は身体を傾け、何か小さく耳打ちをしたように見えた。奏多はためらいなくうなずき、視線を
「エスタ、それ貸してよ」
先ほどとはちがう微笑みが広がり、彼の指先が、
それがふたりの答えだと、誰もが解った。
シャララン、と鈴の音が涼やかに鳴る。
彼が双剣を持ち、軽く素振りをすると、そのすべてが舞となった。響く音色はリズムを刻んでいて。
クラン
誰もが酔い潰れて、食堂の床に転がって。
彼女とふたりで、顔を洗いに外へ出たのだ。
「――ホント……いつでも身体が音楽奏でてる気がする、ね」
舞姫は微笑む。すっかり男になった顔のまま、艶やかに。
「それ、すんごい誉め言葉だよね、ユーナ」
そして、その
「何あれマジなのもーどうしたらいいんですかあたしねえ師匠!?」
「知らん」
声音に対し、その手は優しく彼女の背を撫でる。
だが、逆に
「お前、ここに何しに来たんだ?」
術杖を肩に担ぐように持ち、いつものように彼は言い放つ。
「戦わないなら、帰れ」
そのことばに、
にらまれた
その表情が、ちゃんと舞姫の彼女と重なる。
とたん、奏多の表情が変わる。戦いに挑む、舞姫の顔だ。
彼はそれを双剣で軽く弾いて見せた。地に落ちた刃はそのまま消え去り、しかし、
「……やるじゃない」
「
肩をすくめる奏多に、
あと20秒。
残された時間を、皆、武器やスキルの確認に費やしている。
そして、
祈りは、心は、伝わらない。
ショートカットで選べる水の精霊術では物足りないものを感じながら、それしか選べないのは、
だが、
その力のすべてを活かしたい。
その青の石がきらめいた時、すべての数字は0を示した。
鎖が巻き上がる音が響く。それに合わせてスクリーンが上昇し、その向こうの扉が開かれる。
広がる光景は屋内のはずだが、地面の砂が風に煽られ、
それは、いつか
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