第四節:東京、同時刻 - 異変の始まり
同時刻、東京の街では不気味な現象が始まっていた。
人々は普段とは異なる夜空全体に広がる青白い光景に、驚く人や立ち止まり呆然とする人。
珍しがり写真をとる人、恐怖で逃げ惑う人などで混乱をきたしていた。
街路灯が点滅し、建物の窓からは奇妙な輝きが広がっている。
一部の通行人たちは怯えながらも、その世界に引き込まれるように足を止めてしまっていた。
すると突如として、空気中に青白い粒子が漂い始め、不思議な光景が広がっていく。
人々は目を見開き、興奮と恐怖の入り混じった感情に揺れ動いている。
遂には路上を走行していた車のエンジンが突如として停止した。
そして電子機器が異常な反応をし始め、スマートフォンの画面には奇妙な記号や模様が表示される。
通信は途絶えてしまい、人々の間には混乱が広がって行く。
人々は何が起こっているのか理解できないまま、次第に異次元の影響が拡大していくのを目の当たりにしていた。
街中の不穏な現象は次第にエスカレートしていく。
人々の不安と混乱が広がっていく最中、青白い光景が建物や道路に映し出されていった。
その光が夜空を照らし、奇妙な幻影が形成されている。
通りを歩く人々の影は、異次元の影響によってゆがみ、不規則な動きで揺れていた。
そして周囲に霞が立ち込めると同時に街全体が幻想的な雰囲気に包まれていく。
空気中に漂う粒子は、まるで異世界からの訪問者が舞い降りたかのような異次元の存在感を醸し出している。
人々は恐れと好奇心を抱きながら、その奇妙な現象を目の当たりにしていた。
周囲のビルの窓に映る模様は幻想的な幾何学模様へと変わり始める。
人々が持つ時計は一斉に狂い始め、街の騒音も次第に消失していった。
静寂と異次元の影響が重なり合い、まるで別の次元が現実とが重なっているかのような錯覚に陥る。
街は次元の融合によってか、ますます異次元の影響を受けていく。
建物の壁面には奇妙な模様が浮かび上がり、歪んだリフレクションが現れる。
突如として空気が凝縮し音もなく空間が裂け、その先の景色は歪み、色が混じった絵の具のパレットの様になっている。
その空間は二十メートルにもなろうかと言う大きさだった。
そんな歪ん空間から異次元の化け物が姿を現れる。
始めは小さな羽虫の様な物が現れ、続いて動物位の大きさや人形の様な物が出てきて、周りを警戒していた。
次に現れたのはその裂け目すら越えるかのの様な大型の異形だった。
その姿は人々の想像を遥かに超え、幾つもの不気味な異形の肢体が夜空に浮かび上がって行く。
鋭い触手が空中を舞い、無数の目が光を放ちながら周囲を見渡している。
その大小様々ある異形の姿はまるで、神話の世界から出てきた魔物や悪魔の様にも見えた。
人々はその異形の存在に遭遇し、恐怖で戦慄し逃げ惑い、街の通りは一瞬にして混乱と騒乱に包まれた。
悲鳴が夜の街に響き渡る中、警察は勇敢に立ち向かい銃を発砲する。
銃声と悲鳴が入り交じり、助け呼ぶ声も聞こえるが、多くの人々は我先にと逃げ惑っている。
地下鉄やビル地下から上がってきた者は、その異様な光景を見て地下に戻って行く。
しかし地下の電灯も落ちていき暗闇の中、逃げ惑う人達も襲われ地下でも悲鳴が響き渡る。
そんな中、大型の異形の化け物は何も起こってないかの様に、淡々と発砲する警官達をその歯牙にかけていく。
市民の中にも、この状況に抗おうと手近な武器なになりそうな物を掴み挑む者もいた。
鉄パイプや角材、何処から持ってきたのかチェーンソーや日本刀、スプレー缶とライターで火を吹き付ける者もいた。
しかし小型の異形は怯みはするが、大型の異形には手持ちの武器ではまるで歯が立たたなかった。
そして、抵抗する者は容赦なくその触手や牙や爪に捕まっては命を落としていく。
小型や中型の異形は容赦なく、逃げる者もその歯牙にかけていった。
大型の異形はその様な下方は意に介せず建物も壊しながら進んでいる。
それどころか、邪魔で有れば同じ異形すらも破壊していった。
ビルは破壊され、乗り捨てられた車から漏れたガソリンに引火する車。
散乱する無惨な姿になった人々、街のあちこちで火の手が上がり、建物が破壊される音、爆発音、悲鳴や銃声が響いている。
東京の街は一瞬にして地獄のような光景が広がって行った。
異形の化け物の出現は、人々の心に深い恐怖と無力感を植え付ける。
人々は今まで自分達が安全と言う名の籠の中に居ただけだと思い知らされたのだった。
街は霞と混沌と絶望に包まれ、その恐ろしい存在によって支配されつつあった。
人々は逃げ惑いながらも、その恐ろしい現実と向き合わなければならない運命に絶望と困惑を隠しきれなかった。
そして、これは全世界あらゆる所で観測され起きていた。
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