奴隷_1
「おい、待て!お、お前…止まれ!」
ごめんなさい、こんなに汚くて
私はずっと前からそうだった
気づいたら大勢の大人の前に出されていて
訳も分からずに落とされた
そして怖い大人に体を弄ばれ、冷たい部屋に入れられた
その繰り返しだった、何度も何度も競りに出され、
何度も何度も弄ばれた
それが続くと思っていた
でも、私の価値はなくなってしまったみたい
突然、ごみを捨てるかのように、私は捨てられた
大人からしてみれば、ごみと同じなのだろう
使い古したら捨てるだけ、奴隷のそれと同じだ
実際私は奴隷としか見られていなかったのだろう
捨てられることに疑問を持つなと言わんばかりのその圧に負け、
私は今日も奴隷らしく汚く生きている
この街には多くの売店があり、なかなかに賑わっている
そのうちの一軒を選び、気付かれないように……
「おい、待て!お、お前…止まれ!」
ごめんなさい、こんなに汚くて
でもこれが私の汚い生き方
なぜ生きているのか、それはわからない
わかりたいと、思っている
だから生きているのかもしれない
いつものルートで店主をまき、裏路地に入る…
そこには、男が寝転がっていた
声をかけてみようか、こんなところでどうしたのか、と…
…待って、私は今なんで声をかけようと……
…いや、違う、声をかけなければと思った
なんでかはわからない、私のことなのに私がわからない
ましてやこの男のことも知らない
とても気持ちが悪い、わからない
でも、これだけはわかる
わかりきっている
今、この男に話しかけなければ、自分はずっとこのままである、と
何故か、私はそう理解していた。
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