第58話 試合後
まほろ達は、両親達と合流した後、二、三年生の試合を見ずに会場を後にした。
理由は簡単で、観客席で観戦しようとしたのだが、まほろ達を見つけた観客達が、試合そっちのけでまほろ達の元に殺到し、会場の混乱を招きそうであったからだ。
もちろん、そんな観客ばかりではないのだが、決勝でまほろが空を飛んだのは有力者達にも印象的であったようで、早期スカウトや、唾をつける為に話しかけようとする者は多かった。
まほろ達は、他の里に行く事は考えていないし、団体に所属しようとも考えていない。
なので、さっさと会場を後にして、表彰式の時間に帰ってこようという事になったのである。
人に声をかけられないように、個室のある店を選んで移動をした。
「ごめんね、お父さん達は二、三年生のスカウトもあるのに」
個室に通されて席に座ると、まほろがシラハ達に謝罪をした。
シラハもダイナも里の長であるので、二、三年生のスカウトの為に試合を見る必要があったのに、まほろ達の騒ぎで見ずにこちらにきてしまったのであった。
「気にする必要はない。昨日の試合も見ているし大体の実力はわかる。 もちろんまほろのようにとびっきりの隠し球があれば別だが、そんな事はそうそう起こらんさ」
「そうさ。それに、今年はこの一年生決勝の三試合を越えるような試合があるとは思えん。あずきも、はやてちゃんも一年生とは思えない戦いぶりだったからな。もちろん、相手の子達もだが。 そうだ! あずき、怪我はないのか?」
ダイナが思い出したようにあずきの心配をした。
あからさまなのは、話題を変える為わざとだからであろう。
子供に心配をさせる話は、早々に変えた方がいい。
試合は身代わり人形がある為、普通は怪我をする事はない。
今回、あずきが使った
「大丈夫だよ。かすり傷も無いわ」
それは良かったと笑うダイナの過保護さにあずきは流石に苦笑いである。
「今日はお祝いだからなんでも頼んでいいぞ。もちろん、はやてちゃんも遠慮なんかしなくていいからな」
シラハの言葉にはやては「ありがとうございます」と言いながらも、安めのセットを頼もうとするので、ダイナとシラハが、メニューを見せながらこっちのが美味しそうだと言って色々とメニュー進めた結果、結局、まほろやあずきも巻き込まれて、お店で1番高いセットを頼む事になった。
「ほんま、ありがとうございます。なんか、こんなにようしてもろてええんやろか? バチでも当たりそうや」
そう言いながらも、はやては嬉しそうに笑った。
「私はね、まほろに友達ができたと聞いてとても嬉しかった。私は、まほろと仲良くしてくれるはやてちゃんは家族も同然だと思っている。困った事があったら、私や
シラハははやて1人では解決できない時には大人を頼れるようにと話をした。
決勝前の王生の事もある。はやてがまほろやあずきと共に有名になればついて回る問題になるだろう。
「さ、難しい話はおしまいだ! 今日はお祝いなんだ、美味しいものを楽しく食べよう!」
その後は、決勝戦のまほろ達の戦いを大人達が称賛し、はやてがまほろの凄さを自慢してまほろが顔を赤くしたり、実は3人とも空を飛べる事を知って大人達がひっくり返りそうなほど驚いたりと、楽しい時間が過ぎていくのであった。
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